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概要
これまでのところで、「商品」の概念を厳密に規定してきた。
これをベースにして、貨幣について考えてゆきます。
考察の手順は以下の通り。
- まず、前回の貨幣の基本概念を再確認し、これをベースに、そのインプレメットの方式として
- 物品貨幣(金属貨幣)
- 信用貨幣
- 仮想通貨(クリプトカレンシー)の可能性
を考察します。
今回は、 1とi を検討し、iiは次回、2は次々回にまわします。
価値形態
教科書の1.3「価値形態」の序文と本文を読む。五感で直接「知覚できない」価値の大きさを「表現する」ことが「難しいんだな」、知覚 Perception と 表現 Expression の関係は複雑だ、ということがわかればひとまずOKです。ぎゃくに、そんなの「簡単じゃない、あたりまえじゃない」と思えたら、もう一度考えてみてください。
次のレイアの区別が参考になるかもしれません。
↓ 物 象 層 ↓ |
人 - 人 relation | 商 品 | 非商品 | | Expression |
人 - モノ relation | 財 | 非財 | Recogniton |
モノ-モノ relation | モノ | Perception |
↑ 物 理 層 ↑ |
タテのレイアの関係がなかなか区別できなくて、一緒くたになってしまう点が難しさの原因です。やや うがった 見方をすると、逆に一緒くたにすることで、貨幣が使える世界がはじめて実現する、商品経済はもともと錯覚のうえに成り立っている、ということもできそうです。しかし、この種の議論はキリがないので、価値を表現するというのには、けっこう「難しい」問題がある、モノの重さを表示するのと違うんだ、というあたりまでわかればOKです。
強調点を一つ追加しておきます。
- 「商品の価値の表現は、他の商品の物量で表現される」というとき、それはあくまで「商品の物量」であって「モノの物量」ではありません。
- 「商品の物量」というのは、それ自身、何らかの価値をもっている商品の物量で、という意味です。
- 商品の価値の表現には、やはり他の商品の価値が必要なのです。
- 価値をまったくもたないとわかっている「何か」ではダメなのです。
- ここがが貨幣に関する最大の難問です。
- 無価値なモノではダメだが、表現の材料にしたい等価物の「価値」は純粋なかたちで直接取りだすことはできない。
- 教科書の説明は、このような「商品の物量」と「モノの物量」の区別が見逃されやすいかもしれません。老婆心ながら...
貨幣の基本規定
確認事項
- if
- 商品には直接知覚できないが価値がある
- 多数の商品が存在する
- ....
then
- 単一の価値表現の形態が生まれる(一般的等価物による価値表現)。
- 一般的等価物が持続性をもつとき、これを貨幣とよぶ。
価格
- 教科書41頁の「 D. 貨幣形態」を読んでみます。
配付資料
参考