貨幣について(4)
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概要
- 先週の質問1はむずかしかったようなので、別バージョンで....
- 大正解:商品として借りたものは等価物で返す必要があるため、10万円分のアズキ商品を借りたのであれば、物理的に同量のアズキではなく10万円分のアズキ商品を返さなければならない。
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貨幣について(4)
商品貨幣
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| | 商品貨幣とは
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価値をもつ商品が、直接、間接に、貨幣になったもの
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理論的な考察のまとめ
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| | ... |
- 貨幣とは... 何かが「買える」もの
- 「買える」とは「買われるもの」が存在する
- 「買われるもの」とは、モノ-> 財 -> 商品
- 商品とは「他人のための使用価値」になりきった財
- 商品は自分のために「価値」=「すべての商品と潜在的に交換可能な性質」をもつ
- 価値の存在は、必ずその大きさの「表現」を必要とする
- 価値の「表現」は、他の商品を「等価物」として、その一定の「物量」に「等しい」という形態でおこなわれる。
- 価値表現の形態が発展し、
- 等価物が、単一になり持続性をもったものが「貨幣」である。
- 商品の価値 value を、貨幣の量で表現したものが(貨幣)価格 priceである。
- 商品価値の存在から、必然的に生まれる貨幣が商品貨幣である。
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| | ... |
- 貨幣の本質規定は、価値表現にある。
- 価値表現は、売買に先だって必要となる。
- 価値表現に使えない単なる「媒介物」は貨幣ではない。
- 価値表現のための「等価物」になるものは、それ自身、価値をもつものでなくてはならない。
- 価値のないもので、商品の価値を表現することはできない。
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商品貨幣の二つのタイプ
直接型:物品貨幣≒金属貨幣≒金貨
- 物品貨幣:特定の商品の物量を表現単位にした貨幣
- 金属貨幣:
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- 金属は分割可能性とか、耐久性とか、といった物理化学的性質において表現単位に使いやすいため
- さまざまな商品の交換可能性=価値の大きさを表現する材料に使われてきた。
- 金貨幣は金属貨幣の代表
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間接型:信用貨幣 日本銀行券など。
- ポイント 物品貨幣だけが商品貨幣ではない。信用貨幣も立派な商品貨幣である(教科書 48頁の場合分をみてください)。
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| | ... |
- 「信用」の詳しいしくみは、冬学期の銀行制度のところで説明します。
- ここでは、日本銀行券を具体例にして説明します。
- 銀行券そのものは紙製の「証書」に過ぎません。
- 紙券そのものの「価値」が、銀行券の「価値」ではありません。
- 銀行券は銀行の負債です。
- 銀行の負債は、その額以上の銀行の債権で保証されています。
- 銀行の債権は、誰かが銀行に債務を負っていることを意味します。
- その債務を支払うには、商品を売って支払代金を得る必要があります。
- 債権は間接的にこの商品と間接的に結びつています。
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- 日本銀行券は....
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| | ... |
- ただの紙切れではなく、銀行の「負債」A を表す「証書」であること
- 銀行のもつ「債権」B はこの「負債」を上まわること
- 銀行のもつ債権を支払うのに充分な価値をもつ商品 C が存在すること
によって、
負債 A 100兆円 ← 債権 B 100兆円 ← 広い意味でのさまざまな商品=資産 C の100兆円 価値
というかたちで
1万円札 の背後には1万円の価値をもつ商品が現存する
ことを確認しておきます。
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第5講はここまで
- 市中銀行の預金も
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- 預金は銀行の負債
- 銀行は負債に見合う債権をもっている。
- 銀行がもっている債権の背後には、それを支払うにたる「商品」がある。
- その商品には「価値」がある。だから銀行預金も等価物になれる。
- 銀行の預金も信用貨幣であり、商品の値付けをするときの根拠をもつ。
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銀行預金から派生した貨幣
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- クレジットカード
- デビットカード
- プリペイドカード
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- もう一度最後に、信用貨幣とは
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| | ... |
商品の価値を債権・債務のかたちにすることで、商品の価値表現を実現する商品貨幣
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である。
まとめの問題
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法令貨幣 フィアットマネー
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| | 理論的に考えると...
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- 商品の価値を表現するには、それ自身、商品価値と結びついた等価物が必要
- 価値との結びつきをもたないモノを貨幣にすることはできない。
- 国家が紙幣を発行して、
- 「貨幣とは国家が貨幣と定めたものが貨幣である」として、無制限に発行する紙券では、
- 一時的な交換の媒介物になったり、税金の支払いに使えたりすることはあっても、
- 価値表現の役目を果たす貨幣にはならない。
- 商品が存在すれば、商品貨幣は必須の存在。これを「補助」するものとして、「貨幣のようなもの」として、
さまざまな補助貨幣、支払手段が派生する。
- しかし、フィアット・マネーが商品貨幣を押しのけ、それだけで自立した貨幣となることはできない。
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+
| | しかし現実には...
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- フィアット・マネーがマネーの本質だという学者もいるし
- MMT など現実にこれを実施することを目論むひともいる。
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商品貨幣論の枠組み
態 様 | 実装方式 | この講義の立場 | 通 説 |
物品貨幣 | 金幣・銀幣 etc | 商品貨幣 =商品から 演繹的に導出できる | 本来の貨幣= 金貨本位制 |
信用貨幣 | 兌換銀行券 |
不換銀行券 | 非本来的な貨幣= 管理通貨制 |
フィアット・マネー | 国家紙幣 | 原理的には不可能な貨幣 |
前回説明した、金貨本位制度のもとでも、本位貨幣と交換(本位貨幣[正貨]との交換をとくに兌換 convertible という)できる銀行券(兌換銀行券)が発行されていました。この兌換銀行券について、補足的説明をします。
兌換であれ不換であれ、銀行券はすべて非物品貨幣、すなわち「信用貨幣」です。ただ、兌換というかたちで金貨に依存している兌換銀行券は、不換銀行券に比べて信用貨幣としてまだ自立性が弱いということができます。その意味で、物品貨幣の典型である金貨幣の対極に位置するのは、信用貨幣の典型としての不換銀行券です。
ただし、一般にいわれてきたのは逆です。「理論的に説明できるのは、兌換銀行券までだ」と考えて、不換銀行券を国家紙幣と同じカテゴリーに属するものとしてしまう立場が支配的でした。そしていまでも、そうです。とくに、日本銀行が大量の
国債
を保有するようにかわった現在では、これを根拠に、日本銀行券の実質的な「国家紙幣化」を主張する立場が強まっています。この「国家紙幣化」については、「仮想通貨」の登場と併せて、次回に話をします。今回は、その前提として、不換銀行券の「商品貨幣」としての基本的特性について、考えてみます。
- 講義の前半では、今日の日本銀行券を例に、不換銀行券の実際のすがたについてみてゆきます。それがどのようにして発行されているのか、日本銀行の貸借対照表に即して説明します。前回説明した金本位制のもとでの金貨と比べてみてください。
- 後半では、原理的な説明に立ちかえり、物品貨幣も信用貨幣も、ともに、商品価値をベースにして、貨幣の価値の大きさを維持している「商品貨幣」の一種であることを説明します。後半は抽象的でちょっと難しい話になりますが、できるだけわかりやすく解説します。
信用貨幣
信用貨幣のすがた
- 原理的に説明できる「信用貨幣」は抽象的なものです。いまの日本銀行券は実装方式として特異なズレをもっています。
- 日本銀行券を例にして、それがどのように発行されているのか、解説します。
- 「預金通貨」についても、時間があればふれてみます。
信用貨幣は商品貨幣か
- 信用貨幣について、原理的な再検討を試みます。
- 価値表現に必須なのは、
と
とです。
- したがって、この要件を満たす
でも価値表現は可能です。今日の銀行券は、このタイプの貨幣です。
- ただし、銀行券が表しているのは、メディアとしての紙幣(印刷された紙)の「価値」ではありません。
- 銀行券は銀行の
です。銀行は、この負債に対応する債権を資産 Bとして保有しています。
- この債権の背後には、それを支払うための資産 X(たとえばこれから売られる商品在庫 W など)が存在しています。
- つまり、銀行は、返済の確度が高い優等な多数の債権を保有しています。その背後には多種多様な商品が存在しています。
- したがって、一万円札の価値は、さまざまな種類の商品一万円の価値を代表しているのです。
- 銀行をハブにして、さまざまな商品の価値がミックスされた債権が銀行券です。
- このように迂回したかたちで、銀行券は、ある商品に内在している価値を、さまざまな商品の合成された価値で表示していることになります。
- 金貨幣が、そのストック量の大きさによって、価値の安定性を確保していたのに対して、銀行券は債権・債務の迂回路を通じて、多種多様な商品価値の合成を通じて、別の方式で同じ効果を生みだしているのです。
- この意味で、銀行券も、商品の価値をベースにした貨幣、価値にリンクした貨幣、すなわち「商品貨幣」であるということができます。
配付資料
参考