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純生産物の 分配
今回のポイント
- 純生産物の分配のはかり方を説明します。
- この分配は、資本主義のもとでは、賃金と価格を通じておこなわれます。
- 賃金、価格の関係は「購買に必要な労働時間」に反映されます。
- 「購買に必要な労働時間」と「生産に必要な労働時間」の関係は、純生産物の分配関係に対応します。
分配関係をはかる
- 物量セットを直接、比較することはできない。
- (小麦,鉄)が、(6,12)kgと(10,8)kg とでは、どちらが大きいか?
- 「価格で計算する」と考えるかもしれないが、その価格の決定原理はまだわからない。
- 別の合算方式として、生産に必要な時間で比べてみるという手がある。
- 価格のセットを比較することもできない。
- (小麦,鉄)の価格が、(6,12)円と(10,8)円 に変化したとき、価格は上がったのか下がったのか?物価指数
問題 13-1
粗生産物の生産に必要な労働時間を求めよ。
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12/12 ...1点以上 100%
問題 13-2
純生産物の生産に必要な労働時間を求めよ。
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15/15 ...1点以上 100%
問題 13-3
生産手段の生産に必要な労働時間 $C$ を求めよ。
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18/18 ...1点以上 100%
問題 13-4
生活物資の生産に必要な労働時間 $V$ を求めよ。
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19/19 ...1点以上 100%
問題 13-5
純生産物から生活物資を取りのぞいた,残りの生産物を「剰余生産物」という。
剰余生産に必要な労働時間 $M$ を求めよ。
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18/18 ...1点以上 100%
問題 13-6
$M/V$ を剰余価値率という。剰余価値率を求めよ。
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10/10 ...1点以上 100%
生産力の上昇
- 生産力が上昇するということは、同じ時間のより多くの原料を加工できるようになるkと。
- たとえば、小麦の生産で、この定義による生産力が2倍になったとしてみよう。
$$(12,8) + 6 \to (40,0)$$
問題 13-7
小麦の生産で生産力が2倍になったとき、小麦1kg, 鉄1kg を生産するのに必要な労働時間t1, t2 を求めよ。
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13/13 ...1点以上 100%
問題 13-8
小麦の生産で生産力が2倍になっても、労働者の生活水準は変わらないとする。剰余価値率を求めよ。
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7/7 ...1点以上 100%
買うのに必要な労働時間
- つまり、ある商品を「買うためにはたらく時間」のことです。
- 宿題 13-9 から 13-15 まで。〆切 2019-12-19 16:10
問題 13-9
牛丼並盛りが400円で、時給が1000円だとする。
400÷1000ででてくる0.4にはどんな意味があるだろうか?
ヒント:単位に注目
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18/18 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
▶解説
▼解説
- 時給の単位は 円/時間
- 時給にかぎらず日給でも月給でも 単位時間あたりの賃金を「賃金率」といいます。
- 賃金率という字面にひっぱられて、剰余価値率のことだと勘違いしやすいので注意。
- 剰余価値率は、たとえば1時間はたらいたとき、その付加価値のうち、どれだけが労働者のものでどれだけが資本家のものになるか、分配(搾取)関係を表す比率で、単位はありません(無名数)。
- 賃金額(円)=賃金率(円/時間) × 労働時間(時間) となります。
問題 13-10
牛丼1パイを食べるためにはたらく0.4時間=24分は、労働者の立場からみた時間である。牛丼を売る立場にある資本家からみると、この24分はどういう意味をもつだろうか?
ヒント:牛丼には労働者に対してなにかできる能力があるようにみえる。どんな力か?
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11/11 ...1点以上 100%
▶解答
- 24分間だけ、労働を雇える力
- 労働者の労働を自由に使える力
搾取
問題 13-11
牛丼一杯つくるのに、直接間接に何分くらいかかっているのだろうか?米を作ったり牛肉を作ったり、その牛肉を作るのにもエサとか、いろいろ生産手段が必要で、それもあわせてナンボということですが ...
かりに20分だとする。これがいままで考えてきた「生産に必要な時間」 t です。
また、牛丼の生産に間接的にたずさわる人もみんな、店員さんと同じように時給1000円ではたらいているとしよう。
さて、このとき牛丼の原価はいくらで、一杯あたりのもうけ(マージン)はいくらになるか?
13-11 の回答を +
14/14 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- 原価は1000円×(20/60)≒333円。
- マージン(一杯あたりのもうけ)= 400 - 333 ≒ 77円
問題 13-12
牛丼の価格が400円に据え置かれたまま、時給が上昇してゆけば一杯あたりのもうけ(マージン)はへってゆく。
さて、マージンがゼロになる時給は何円か?
13-12 の回答を +
16/16 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
▶解説
▼解説
- 1時間にできる牛丼の量は60分÷20 分で 3 杯
- 1時間の賃金が1200円になると、この3杯の売り上げ1200円が全部賃金として支払われて店のもうけはゼロになる。
▶もうけの正体
- ということは、このとき、まだ店にもうけが残るとすれば、それは牛丼1杯が 20分以下でつくれるからなんだ...
- もし、もし 15分でできるようになれば1時間に 4杯できる。
- それなら1時間ははたらいてもらうと、牛丼は4杯できるできる。
- でも、はたらいて食べられる牛丼は 1200円÷400円で 3杯だけ。
- このギャップの 1 杯が牛丼をベースに量った店のもうけか...
- 1時間はたらいて牛丼3 杯。それにかかったのは 3杯× 15分= 45分、労働時間は60分...って?
- 目の前で、4杯つくって 3杯しかもらえないなら、 1 杯、資本家にとられたのは一目瞭然。
- でも、時給 1200円で牛丼が1杯400円といわれただけでは、この関係はわからない。
- 労働時間でみると、牛丼1杯を買うのに必要な時間は20分、つくるに必要な時間は15分。だから1杯あたり、5分、取り戻せていないことがわかる。
▶価格と賃金率
- この牛丼1杯を買うのに必要20分は、ちょっと見方を変えると、牛丼1杯で、労働者を20分、雇える、ということになる。
- その雇った労働者が、15分で牛丼をつくるのだから、20分なら、20/15 = 1杯と1/3杯つくることになる。
- 1杯の牛丼を与えて、牛丼 $4/3$杯を手に入れる方法があるのか!
- 価格ベースで見ているかぎり、「等価交換」にしかみえない。
- ましてや、いろんな商品を買っているとなると、牛丼だけの世界より、ずっとこの関係はみえないものになるだろう。
- しかし、資本が利潤をあげているという背景には、「等価交換」の背後で、労働時間ベースでのギャップが生じている。
- 「搾取」といわれているのは、商品経済の陰に隠された純生産物の分配関係のこと。
「数値例3」に戻って、再確認しておこう。
問題 13-13
「数値例3」で(小麦1kg, 鉄1kg) の価格が(1500円,1200円)であるとする。
労働者が生活物資を購買できる賃金率(時給)を求めよ。
13-13 の回答を +
11/11 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- 時給を $w$ 円/時間とすると、支出=収入となるのは
$$(5,5)(1500,1200) = 10w$$
$$\therefore w =1350$$
問題 13-14
(小麦1kg, 鉄1kg) を「買うのに必要な労働時間」t'=(t'1,t'2)と「つくるのに必要な労働時間」t=(t1,t2)の差をあらわすベクトルt'-tを求めよ。
13-14 の回答を +
8/8 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
$$(t_{1}',t_{2}') = (1500/1350,1200/1350) = (10/9,8/9)$$
$$(t_1,t_2) = (7/12,13/24) $$
$$(t_{1}',t_{2}')-(t_1,t_2) = (10/9,8/9) - (7/12,13/24) = (19/36,25/72)$$
問題 13-15
労働者が、生活物資(小麦5kg, 鉄5kg) を買うために、それをつくる時間以上にはたらいた時間 S と、剰余生産物(小麦1kg, 鉄7kg)を生産するに必要な労働時間 M ではどちらが大きいか?
13-15 の回答を +
13/13 ...1点以上 100%
▶解答
▼解答
- 「生活物資を買うために余計にはたらいた時間」と「剰余生産物を生産するにはたらいた時間」は等しい。
$$S = (5,5)(19/36,25/72) = (38/72+25/72) \times 5 = 63/72 \times 5 = 7/8 \times 5 =35/8$$
$$M=(1,7)(7/12,13/24) = 7/12+91/24 = 14/24+ 91/24 = 105/24 = 35/8$$
$$\therefore S = M$$
- 生活物資の物量ベクトルを$b$,剰余生産物の物量ベクトルを$m$とすると
$$Tw=bp$$
$$T=b(p/w)=bt'$$
$$T=(b+m)t$$
$$bt'=(b+m)t$$
$$\therefore mt =b(t'-t)$$
賃金率と生活物資の価格を通じた分配
▶二つの労働時間の意味
- 同じ時給$w$円が支払われる労働だけの社会を考えてみると、
- 直接間接生産にかかった労働時間$t$がわかれば、
- 生産にかかった費用は $tw$ となる。
- これ以上の価格$p$ で売れば $p-tw$のマージンがでる。
- $t$を考えることは分配を考える手がかりになる。
- ただ趣味で $t$を計算している、っていうわけはない。
- 商品には値札$p$がついているが、労働時間$t$のラベルは貼ってない。
- その意味で$t$は、直接にはわからない量だが、社会的再生産の全体をまとめて(集計して)みるとき、けっこう役にたつ。