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 協業 

2 mini
問題 5-1

前回の復習です。A〜Cは?

人間の労働を動物の行動と比べたとき、最大の違いは、まず先に(A)を定めてから実行する点にあります。

しかし、この特徴は人間の労働に、さらなる広がりをあたえることになります。

(A)を実現するには、(A)の対をなす(B)を整備しなくてはなりません。

また(A)になるまえの(C)を、ハッキリした(A)に対象化することも必要です。

コンピュータサイエンスの発達とインターネットの拡大は、いま労働のすがたを大きく変容さていますが、こうした変容をとらえるためには、以上のような広がりをもった労働の基本構造の理解が不可欠なのです。


解答と解説 5-1

解答

(A)目的 (B)手段 (C)欲望(欲求)

解説

前回の問題を思いだしてください。

  1. 欲望の対象化
  2. 手段の体系化
  3. 過程のコントロール

2 や、さらに 1 にまで広がりをもたせて、人間労働の特徴を考えてみました。

コンピュータをつかった新たな自動化は、道具から機械へという従来のオートメーションとは次元が異ことなります。

18世紀後半の産業革命にさかのぼる 3 の領域における機械化だけではなく、2 や 1 の領域で新たな「アタマの単純作業化」がはじまりつつあります。とはいえ、まだまだ自動化というのはほど遠いのが現状、コンピュータは「アタマの道具」の段階ですが。

...ということで、前回の講義の後半に労働の三つのフェーズのイラストをみておきましょう。

5-1 の回答を 
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51/56 ...1点以上  91%

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▶労働の結合連鎖
1 mini
問題 5-2
  1. 分業なき協業
  2. 協業なき分業

の典型例をあげよ。


解答と解説 5-2
  1. 大勢の漕ぎ手が大きな船を一斉に漕ぐ。
  2. 職人が各自の作業場で製品のパーツをつくる。
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協業

▶協業とは
2 mini
問題 5-3

いっしょに協力してはたらいているようにみえる社会的動物はいろいろいる。

しかし、人間の「協力」のしかたには、ほかの動物とは異なる、大きな特徴がある。この違いを生みだしている最大の要因はなにか?

たとえばミツバチと比較したとき、この要因は、どのような違いを生みだしているのか。


解答と解説 5-3

ことばをはじめ、表情、仕草など、多彩なコミュニケーション能力が発達していること。

人間の場合、巣をつくる、幼虫を育てる、などといった、特定の同じ行動を繰り返すかたちでの協力ではなく、状況に応じて目的を変更し、そのための多様な行動をつくりだすかたちで協力できる。

まず先に、目的をきめて、それから実行する、という「目的と実行の分離」ができるから、他の労働主体と「目的」を共有することで、「実行」を有機的に結びつけることができる。

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▶集団力
▶集中の原理
2 mini
問題 5-4

集団力は、メンバーを統率指揮する者がいなければ発揮されない。

たとえば、個々のメンバーの演奏能力が高くても、指揮者がいなければオーケストラは成りたたない。

それゆえ、集団力とはけっきょく、リーダーが生みだした力なのである。

この主張は妥当か。そう判断した拠を述べよ。


解答と解説 5-4

■解答

不適切。

労働主体は、コミュニケーション能力をもち、目的を共有して、互いに結びつく潜在能力を持っている。

指揮したり、かけ声をかけたりすることで、つながりが寄り円滑になることはあっても、それはオマケ。

指揮監督がすべてをうみだすというのなら、一人で指揮棒を振ったり、かけ声をかけてみたらどうなるか、考えたらよい。

□解説

社会的な価値観の違いで、この問題に対する答えはわかれる。ここでは、講師の立場で回答してみた。

違う立場からでも、筋の通った推論(こうだからこうだ)がなされていればよしとします。

因みに、この解答では、協力の潜在能力→指揮監督は補助 という推論にたっています。


After

  1. 妥当でない、と答えた場合、理由としては、問題文の「それゆえ」がロジカルには「それゆえ」になっていないことをつくのが、いちばん。
  2. そのためには「リーダーがいなくても、コミュニケーションがチャンととれれば発揮できる」といっておく必要がある。
  3. あるいは別解として、「リーダがいないと発揮できない」と「リーダーが生みだしたもの」とは同じではない、する手もある。「引きだした」を「生みだした」と混同している、と批判するわけ。
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▶同調の原理
2 mini
問題 5-5

10人がならんでバケツリレーをする。

バケツを手渡すのに要する時間は、人によってバラツキがあり、ならんだ順で、1秒->2秒->1秒->2秒->3秒->2秒->1秒->3秒->1秒->2秒 であったとする。

このとき、バケツを端から端まで送るのに必要な時間は何秒か。

また、もっと効率のよい並び方があれば、並び替えてみよ。


解答と解説 5-5

解答

  • 3 x 10 で30秒
  • 並び方を変えてもムダ

解説

  • バケツリレーの話ですよ。一個で解散、ハイ終わり、じゃバケツリレーにはなりません。次から次にバケツをリレーして、何個も何個も連続して運ぶときの話、っていうことは、暗黙のうちに察しがついたとして....
  • この連続的なリレーでは、3秒かからないと通過しないところが、ボトルネックになります。
  • どんなにほかがスピードアップしても(というか、スピードアップできないのですが)、ここを通過するのに必要な時間で、全体の時間はきまります。
  • 高速道路の渋滞をイメージすればわかるかな?
  • ではこの3秒が縮まらないかぎり、もうスピードアップする方法はないの?
  • あるかも... 3秒の人をタテに並べたら....どう?
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▶ならべかえても...
▶競争心
3 mini
問題 5-6

協力は競争と両立しない。だから競争心を抑制することで、同じ目的に向かっていっしょにはたらく協業は可能になる。

真か偽か、理由を述べよ。


解答と解説 5-6

「競争」一般と「競争心」は別。他より優位にたち他を打ち負かし排除しよう、限られた成果を独り占めしよう、というタイプの競争は「協力」と矛盾するが、他に学ぼうとする競争心は、外部から強制されることなく、自分たちで同じ目的を実現しようとするまとまりをつくるためには、逆に不可欠な要素である。

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4 mini
問題 5-7

いつでも互いに顔がみえるオフィスワークに比べて、在宅勤務、リモートワークは協業の効果を弱めることになる。

真か偽か、理由を述べよ。


解答と解説 5-7

  • 「集まる」ことは協業に必須の条件だが、それは場所的に一カ所に集まることを同じではない。
  • 目的が共有でき、互いの成果が見くらべられれば必要な条件は満たされる。
  • インターネットの発達は、在宅勤務、オフィスワークで、協業の新しい可能性をひらく(かもしれない)。
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38/70 ...1点以上  54%

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3 mini
問題 5-8

この講義は遠隔地講義のかたちでおこなっています。

さて「対面講義でないと協業の効果は発揮できない」という意見について論評してみてください。


解答と解説 5-8

解答

  • あくまで講師の立場からの論表になりますが、
  • この講義は一つの実験で、対面以上の協業効果をねらっています。
  • これだけインターネットの環境が利用できるようになったのですから、大人数に対面で一方向でおこなう講義の限界をこえたいと思っています。
  • 講義での「集まる」効果は、必ずしも、顔を見合わせる大人数の講義では、顔や身振りでみなさんに伝えることはほとんどありません。この情報はたいていはノイズ、理論に集中するにはジャマなだけです。ということではありません。
  • 対面授業(らしきもの)をそのまま再現する、というのでは、インターネットを媒介にした講義のメリットを活かしたことにはなりません。
  • 参加者が相互に意見を見くらべられるかどうかが、協業の効果、ありやなしや、の決め手。
  • ということで、この講義では、みなさんの回答を一度に集めて、比較論評しています。

解説

  • そもそも、学校で学ぶことが「労働」かどうか...この点に疑問を感じる人もいるでしょう。まだ迷っていますか.....
  • ...であれば、この講義の「労働」の定義にもどって、もういちど考えてみましょう。「労働の結果が生産」だ、といった固定観念からはとっくに足を洗ったはずです。「ふやす」と「つくる」はタテとヨコ、「つくる」よりもっとひろい「はたらく」work が「労働」で、そのコアは目的意識的に欲求をみたす活動全体だ、と。
  • みなさん、なんとなく講義にでているわけでも、また、大学に遊びにいくわけでもないでしょう。
  • じゃ、勉強するのも「はたらいている」うち、というなら、やはり、なにか生産しているはず、だから、なにかしらふえていて利得があるはず...と思ってしまうようなら、まだ労働の概念を見なおした意味が???です。
  • 家で料理をつくって食事をするには、明日の活力を生産するため?そんなこと考えていては、せっかく、おいしいものをつくっても台無し。食事を楽しむことが第一で、そのためにはたらいても、それは消費です。あくまで結果的に明日の活力につながるわけです。勉強するのも同じで、自分の労働能力をたかめて高く売るために勉強しているわけではありません。

after

対面授業一般の是非、有効性をたずねたのではなく、協業論に関する質問です。対面でないこの講義を念頭におきながら「対面講義でないと協業の効果は発揮できない」という命題について、一般的・客観的な論評を求めたのですが、これが伝わらなかったようです。

みなさんの要望のようなものが大半なので、この問題は評点を避けます。

5-8 の回答を 
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▶学校で学ぶ

Last-modified: 2021-02-09 (火) 09:52:26