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資本のもうけ方:売買差額と流通費用

講義予定

  • 前回入れなかった「資本の概念」からはじめます。教科書 79-86ページ。
  • 後半では、資本のもうけ方を分析します。教科書 86-95ページ。

マージン追求型

  • 売買差額の増大を狙うスタイル

三角貿易:間接化された差額(物量差)

triangle-trade.png
  • 数字が見えない人は第14講のサプリをみてください
    問題 12-1

    次のような三つの地域で異なる価格体系が成立していたとしよう。

    イギリスの価格体系
    $$ \begin{equation} \begin{aligned} 砂糖1ポンド & = £ 4 \\ 綿布1ヤール & = £ 1 \\ \cdots & = \cdots \end{aligned} \end{equation}$$
    アンティール諸島の価格体系
    \begin{equation} \begin{aligned} 砂糖1ポンド & = \$ 2 \\ 奴隷1人 & = \$ 100 \\ \cdots & = \cdots \end{aligned} \end{equation}
    西アフリカの価格体系
    \begin{equation} \begin{aligned} 綿布1ヤール & = 1\,bal \\ 奴隷1人 & = 100\,bal \\ \cdots & = \cdots \end{aligned} \end{equation}

    あなたが$£ 100$を投下した冒険商人だったら、どのような取引で利潤を追求しますか?

    £ は P, $bal$ は B, $\$ $ は D と表記してかまいません。

    2 min

解答と解説 12-1

解答:

イギリスで綿布を仕入れ(£ 100(G) - 綿布10ヤール(W))

西アフリカで綿布を売って奴隷を買い (100ヤール(W) - bal100(G) - 奴隷 1 人(W))

アンティール諸島で奴隷を売って砂糖を買い ( 奴隷 1 人(W) - $ 100(G) - 砂糖 50 ポンド(W))

イギリスで砂糖を売る(砂糖 50 ポンド(W) - £ 200(G))

12-1 の回答を 
  +  
29/95 ...1点以上  31%

  分
問題 12-2
12-1 で資本の増殖が可能なのはなぜか?
2 min
  • 解答の数字が見えない人は第14講のサプリをみてください。

解答と解説 12-2

解答:国際レートと比較すると、イギリスでは砂糖の価格が綿布に比べて相対的に高いため。

解説:

$$\begin{align}\frac{綿布}{奴隷} &=\frac{1}{100} \cdots 西アフリカの価格比\\\frac{奴隷}{砂糖} &=\frac{100}{2} \cdots アンティール諸島の価格比\\\end{align}$$

それゆえ

$$\begin{align}\frac{綿布}{砂糖}&=\frac{綿布}{奴隷}\times \frac{奴隷}{砂糖} = \frac{1}{100} \times \frac{100}{2} = \frac{1}{2} \cdots 交易価格比\\\end{align}$$

ところが

$$\begin{align}\frac{綿布}{砂糖} &=\frac{1}{4} \cdots イギリスの価格比\end{align}$$

つまり、イギリスの砂糖価格は、国際レートの2倍ということ。

したがって、イギリスで、安い綿布を買って、三角貿易で入手した砂糖をイギリスで売れば、£ 100 は2倍になるというワケ。

12-2 の回答を 
  +  
24/123 ...1点以上  20%

  分
問題 12-3

三角貿易で砂糖50ポンドを得てイギリスで売ろうとしても、それは砂糖の供給量をふやすことになり、$砂糖1ポンド = £ 2$ になる。三角貿易で、はじめの$£ 100$ をふやすことができるというのは論理的に誤りである。

この論理をひとまず受け入れたうえで、その欠陥を指摘せよ。

2 min

解答と解説 12-3

解答:イギリスで砂糖を売ろうとしたとき、供給が増え、砂糖の価格がさがるというのは推論ミス。「供給がふえれば価格が下がる」とすれば、西アフリカで綿布を売ろうとした時点で、$綿布1ヤール = 0.5\ bal$ になる可能性、あるいはアンティール諸島で奴隷を売ろうとした時点で、$奴隷1人 = \$ 50$ になる可能性を平気で見過ごすアサハカ。

解説:相手の主張が正しいと認めたうえで矛盾をしてみようという問題です。「砂糖の価格がちょうど利潤をキャンセルするように定まる」という論理が、そもそも独断(ドグマといいます)です。

需要と供給が均衡する水準で価格がきまり、この価格で等価交換すれば利潤は発生しないというのは、多くの極端な仮定を加えないと論証できません。

均衡論は経済学のお伽噺、裸の王様、これを信じるのではなく、疑うことで、リアルな理論が見えてきます。注意!「現実」がリアル、リアルなのは「現実」なのではありません。「現実」はアレコレの複雑なかたまり、だれもクリアにみることはできません。リアルなのはあくまで「理論」です。

12-3 の回答を 
  +  
23/101 ...1点以上  23%

  分

同一商品のマージン拡大

問題 12-4

同種大量の商品を多数の売り手買い手が競争で売買している市場なら、高く売れるチャンスは安く買えるチャンスと同じようにある。

真か偽か、判断の根拠を述べよ。

2 min

解答と解説 12-4

解答:同じ商品を、人よりも高く売ることはむずかしい。ただ、売るのにかかる期間はランダムに分散するので、安く売らざるを得ない売り手を探しだせるチャンスはある。

解説:この解答は、同種大量型の商品は、一般的に定価以上の価格はつけにくいが、値引き販売はときどきある、といっているわけですが、はたしてホント?

12-4 の回答を 
  +  
43/126 ...1点以上  34%

  分
問題 12-5
$\def\calp{\cal{P} }$$\def\calq{\cal{Q} }$

ある商品を$\calp$「安く買う」ことと、$\calq$「安くつくる」こととはどのような関係にあるか。

  1. $\calp$ は $\calq$ をふくむ
  2. $\calq$ は $\calp$ をふくむ
  3. $\calp$ と $\calq$ は共通な面をもつ
  4. $\calp$ と $\calq$ に相交わるところはない

いずれかを選び、判断の根拠を示せ。

2 min

解答と解説 12-5

解答: 1. 「安くつくる」のは「安く買う」ための一つの方式。

解説:完成品を買うかわりに、原材料を買い労働者を傭いコストを下げることで同じ商品を手に入れているわけ。

海外で安く生産して販売するか、完成したものを輸入して販売するか、海外の生産者に注文生産させるとか、いろいろ、バリエーションがあるところ。

「買う」ことと「つくる」こととは重なる面があるというわけで、むかし「生産過程の流通過程化」というむずかし名前で教わったような気もしますが、この「流通過程」という用語は?「購買過程化」なら....やっぱり?

12-5 の回答を 
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60/118 ...1点以上  51%

  分
問題 12-6

資本には①安く買って高く売る G---W---G' ②貨幣を貸してふやす G ... G' ③生産を通じて増やす G --- W ... P...W' ---G'(Pは生産過程)という三つの形式がある。

この主張は適切か。

5 min

解答と解説 12-6

解答:②は単に貨幣の用益権を販売しているだけで、コスト計算ができず、資本の概念に反する。

③は①のサブバージョン。並置すべき第三の形式ではない。

解説:この講義のある意味、極端な結論です。

世の中では、資本の商人資本形式、金貸資本的形式、産業資本的形式の三形式がある、といわれているようです。

12-6 の回答を 
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15/111 ...1点以上  14%

  分

流通費用の節減型

  • 市場は、価格が無料のシグナルになって、費用をかけずに、財と財が交換される場ではない。
  • とくに、利潤を追求する資本が中心の市場では、
    • もうけるためには、売買の対象(商品)に費用を支払うだけではなく、
    • 商品を保管し、情報を集め、事務管理処理するためのさまざまな費用が必要。
    • この費用を、相対的に節減することで、マイナスをマイナスするかたちで、利潤率を増大させることができる。
問題 12-7

流通費用を相対的に減らしてゆくうえで、効果的な方法は何か。

流通費用は単価計算できない、ということをヒントに考えよ。

5 min

解答と解説 12-7

解答:多数の売買を集めること。集中。

12-7 の回答を 
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40/109 ...1点以上  37%

  分

Last-modified: 2021-02-09 (火) 09:52:26