訪問者:氏名不詳
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問題 4-20
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Geogebraを使ったこと、ありますか?
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0/33 ...1点以上 0%
環境・知識・技術
自然環境の捉え方
- 経済学は、自然環境を「本源的で不滅の力」として捉えてきた。
- たとえば、David Ricardo, On the Principles of Political Economy and Taxation, 1817,chap.2 'On Rent'
「地代は、大地の生産物のうち、土壌の本源的で不滅な力 の使用にたいして地主に支払われる部分である。しかしながら、それはしばしば資本の利子や利潤と混同されている、そして通俗語では、この用語は、農業者によって地主に支払われるものには、なんにでも適用されている。もしも、同じ面積の、そして同じ自然的肥沃度の二つの隣接農場のうち、一方は、農耕用建物のすべての利便をもち、なおそのうえに、適当に排水され施肥され、また生け垣、柵および塀で都合よく区分されているのに、他方はこれらの便益を一つももっていないとすれば、一方の使用にたいしては、当然に、他方の使用にたいするよりも、多くの報酬が支払われるであろう、 しかも両方とも、この報酬は地代とよばれるであろう。」
graph LR
A[本源的で不滅な力]
subgraph 資本
B[農耕用建物]
C[排水 施肥]
D[生け垣 柵 塀]
end
E(地代)
F(利子と利潤)
G[地主の報酬]
A --> E
B --> F
C --> F
D --> F
E --> G
F --> G
1分
問題 4-1
上の文で「土壌の本源的で不滅な力」と同じ意味の言葉は?
4-1 の回答を +
7/34 ...1点以上 21%
1分
問題 4-2
上の引用文の文脈で、「農耕用建物」「排水 施肥」「生け垣 柵 塀」に共通する性格をひと言で?
4-2 の回答を +
15/29 ...1点以上 52%
解答と解説 4-2 解答
壊れる・失われる destructible
解説
「人工物」というのもありそうです。ただ問題はその人工物の「性質」です。
After
- 「便益」「利便性」という回答が多くありました。ハズレではないですが、引用文は「本源的に不滅な力」対(「農耕用建物」「排水 施肥」「生け垣 柵 塀」)という''対比''が文章の骨格です。
- この対比において、「農耕用建物」「排水 施肥」「生け垣 柵 塀」に共通の性格、特徴を指摘してほしかったのですが、残念ながらこの意味での正解はありませんでした。
- もう少し、質問のしかたを工夫する必要があったと反省しています。
- いずれにせよ、「農耕用建物」「排水 施肥」「生け垣 柵 塀」などは、種子などと違い、ある期間、繰り返し使用できますが、それでも少しずつ消耗してゆく destructible から、やがては''再生産'' reproduce されなくてはならない。
- これに対して、土地は、 それがなければ''再生産''ができないという意味では、''再生産''に「使われている」が、それ自身は「不滅」だから
1分
問題 4-3
「農耕用建物」「排水 施肥」「生け垣 柵 塀」は、物質としてみれば、なくなりはしない(質量保存則)。
壊れてなくなるのは何か?
4-3 の回答を +
13/36 ...1点以上 36%
解答と解説 4-3 解答
モノ
解説
レイアを分けて考える必要があります。
destructible/indestructible問題 |
レイア2 | モノ |
レイア1 | 物質 |
After
- 物質対「モノ」という区別が、まだ理解できていない気がしました。
- 建物は、壊れても壊れていなくても、物質のレイアでは、材料を構成する物質は変わりませんが、モノの例亜では、壊れれば建物ではなくなります。
- エネルギーも同じで、石炭であれ電力であれ、エネルギーは保存されますが、モノのレイアでは、石炭から電力とロスとして外部に逃げる熱エネルギーなどに変わるわけです。
3分
問題 4-4
「人間が「農耕用建物」「排水 施肥」「生け垣 柵 塀」をつくり、毎年耕作しなれば、やがて森林に覆われ植生の遷移が繰り返されるだろう。
だから「土壌の本源的で不滅な力」などというものはどこにも存在しないのだ。」
この主張は妥当か、評価を述べよ。
4-4 の回答を +
32/38 ...1点以上 84%
解答と解説 4-4 解答
- 妥当だと思う。
- 「自然的肥沃度」というのは、けっきょく、人間と自然との関わりのなかで、長い時間をかけて徐々に形成されてきた歴史の産物だから。
別解1
- 妥当とはいえない。
- この主張にしたがえば、「「農耕用建物」「排水 施肥」「生け垣 柵 塀」をつくり、毎年耕作」することで、人間は無から「肥沃度」をつくりだすことになるから。
別解2
- 妥当とはいえない面がある。
- 「肥沃度」は人間の関わりなしには存在しないが、「肥沃度」のもとなる「変わることのない(=不滅な)普遍的なもの」は存在する。
解説
- 講師は、常識的な「解答」よりも「別解」のほうを高く評価します。
- 「本源的で不滅な力」をそのままにして、ただそれが「あるかないか」問うのではなく、たとえば別解2のように、その内部にふみこんで、その構成要素を分析してみることがだいじだと思います。
3分
問題 4-5
前問の別解2のように考えたとしよう。
その場合、「本源的で不滅な力」を構成する「変わることのない普遍的なもの」とは、例えばどんなものか?
また、それらはなんと総称したらよいか?
4-5 の回答を +
16/39 ...1点以上 41%
解答と解説 4-5 解答
- 毛管現象とか光合成とか.....
- 総称しては、科学的知識、法則認識
解説
言ってみれば、毛細管現象とか光合成とかといった、物理化学的、生物的な作用で、この変わらない(不滅な)力が適正にコントロールされることで、はじめて「肥沃度」にあたるものは構成されるのだ。
After
- 変わらない特定の対象を探して、太陽光とか水とか土とか、あるいは原子とかエネルギーとか、をあげた回答がほとんどでした。
- それらを総称してなんというか、考えたものにはともかく1点としましたが、正解とは距離があります。
- 太陽光とか水とか土とか、どれも変わるのです。あるいは原子とかエネルギーとか、でも、化学反応があったり、エントロピーが増大したりするわけで、「変わらない」わけではありません。
- ただ、こうした物質やエネルギーレベルの変化を規定している「法則」は「変わらない」わけです。
3分
問題 4-6
科学的知識だけでは「肥沃度」や「本源的で不滅な力」にはならない。
なにが足りないのか?なにが必要なのか?
また、科学的知識を人間に役に立つものにするものは、一般になんとよばれているか?
4-6 の回答を +
16/37 ...1点以上 43%
解答と解説 4-6 解答
- 必要なのは、目的にあわせて、普遍的な科学的知識を組合せ、対象をコントロールできるようにすること。
- ひと言でいえば、「技術」
解説
- 技術とは、特定の目的を客観的な知識に基づいて実現する一連の手段、手法、手順のことです。
- 技術は、科学をベースにしているので、だれがやっても同じ結果が期待できるものです。再現性がなくてはなりません。
- ある人がやるとうまくゆくが別の人がやるとうまくゆかないという場合は、技術ではなく技能が存在するといいます。技能は属人的なものです。
- ここで区別した「(科学的)知識」「技術」「技能」は、言葉遣いの約束ごと、ルールあるいは定義です。この講義では、これらの用語をこのような約束ごとにしたがって使うことにします。
- 科学的知識は、現代でいえば理学部でやるような分野で、技術のほうは、農学部とか工学部でやるような分野だろう、とおよその見当をつけてください。もちろん、個々の事例をとりあげて、これは知識、これは技術、と一つ一つ尋ねるのは意味がありません。およその見当をもとに、「知識」と「技術」の特性を抽象的に考えようとしているのです。
- 黒いインクに白い糸の端をつけると、毛細管現象で下からだんだん黒く染まってきます。中間には黒と白の間のグレイでしょう。グレイの部分を指して黒か白かいってみろといわれるとどっちともいえないでしょう。だから、黒も白もないのだ、すべてグレイなのだ、というべきか、というとそれは違うでしょう。両端は純粋な黒と白なのです。黒と白が抽象的に規定できれば、グレイを説明することができますが、グレイから黒と白を説明することはできません。「理論」では黒と白を抽象的に規定することが必要で、これをもとに、複雑で多様なグレイの世界を理解するのです。
- 以上のように考えると、「本源的で不滅な力」はとくに「土壌の」という限定をつける必要ないことがわかります。
- 農業にかぎらず工業でも、鉄をつくるにしても、布を織るにしても、何らかの自然の作用を利用しているわけです。
- 生産では、知識をベースとした特定の技術が存在し、技術を媒介にはじめて自然にアクセスしているわけです。ナマの自然そのものが、いきなり生産につながるわけではありません。
- 客観的な技術があるから、再現性が保証され、同じ生産過程をくり返す、再生産も可能になるのです。
▶人間と自然の多層的関係
▼人間と自然の多層的関係
- 人間は、直接ナマの自然と物質代謝をおこなうのではない。一般の生命体にない特徴である。
- 自然環境との間接的な関わり方は、レイアを設定して分析する必要がある。
- 知識・技術・生産手段の関係
- 知識:だれにとっても妥当する、モノに対する客観的認識。eg. 自然科学
-
技術属人的な技能 skillと対をなす。:目的に対する手段としてモノの処理方法。だれがやっても同じ結果になる。
- 生産手段:技術をベースにしたモノのシステム。構造をもったモノの集合(構造体)。eg, 道具・機械
- 知識は私有できないが、技術は私有させることも可能。
問題 4-21
ここまでOKですか?わからない点、もっと説明が必要な点があればどうぞ
4-21 の回答を +
0/6 ...1点以上 0%
解答と解説 4-21 質問:
「エネルギーが生産できないという点について、 確かにモノではないという理由は理解できましたが、 もう少しご説明いただけますでしょうか。」
解答:
- 石炭 25MJ/kg とする。
- 石炭の発電効率を約40%とすると
- $石炭1kg \to 電力10MJ = 10000kj \times 2.78 \times 10^{-7} kWh = 2.78 \times 10^{-3}kWh = 2.78Wh $
- いずれにせよ、発電効率は100%以上にはならないので、$石炭 \to 電力$で電力エネルギーの量は減少するので、エネルギーの生産にはなりません。
まとめ
▶まとめ
▼まとめ
- 社会的再生産は、自然環境のなかで実現される。
- 人間は外部の自然環境と直接に物質代謝をおこなうのではなく、生産手段というモノの体系を媒介に、間接的に物質代謝+エネルギー変換をおこなう。
- 自然の作用の利用は、知識をベースとした技術を通じておこなわれる。