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問題 9-100 ✔ 接続状態をおしえてください。先週、みなさんに Geogebra を使った経験があるかどうか、たずねたのですが、そのあと、さわってみましたか。
9-100 の回答を + 0/8 ...1点以上 0%
生産力をはかる
前回のまとめ
- 再生産とは、アウトプットがインプットにフィードバックする生産
- 再生産が持続するには、インプット < アウトプット が必要。
- 再生産が縮小しないためには、一定以上の生産力が前提となる。
- たくさんの生産物が連鎖している社会的再生産では、さまざまな生産過程で投入されている生産手段の総量が、その生産手段の粗生産物以下になることが必要。生産過程間のバランスが求められる。
今回のネライ
- 「生産力」とはなにか、
- それは、どのように「はかる」ことができるのか、学ぶ。
- 「生産力」という言葉は、わかっているようで、厳密に考えると、わかっていないことがわかるはず、自分のアタマでしっかり考えてみよう。
- 価格、価格ベクトルの概念、生産価格の概念の糸口になる。これについては次回以降。
生産力
- 生産力 productivity は 生産性ともいう。
- 次のようなケースで基本的な原理を考えてみよう。
- case1
$$\begin{cases}
\text{小麦生産 } & P : & {\color{red}{(1,1)} } \to (4,0)\\
\text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5)
\end{cases}$$
- case2
$$\begin{cases}
\text{小麦生産 } & P' : & {\color{red}{(1.2,0.8)} }\to (4,0)\\
\text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5)
\end{cases}$$
- 投入はマイナス、産出はプラスと銘記して、つぎのようにベクトルを定めると
$$a_0=(-1,-1),b=(4,0)$$
$$c=(-2,-1),d=(0,5)$$
$$a_1=(-6/5,-4/5)$$
- case1
$$\begin{cases}
P : & a_0 &\to &b\\
Q : & c &\to &d
\end{cases}$$
- case2
$$\begin{cases}
P' : & a_1 &\to & b\\
Q : & c &\to & d
\end{cases}$$
問題 9-1 - $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P : & {\color{red}{(1,1)} } \to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ が $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P' : & {\color{red}{(6/5,4/5)} }\to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ となった。
- つぎのようにベクトルを定める。
- $a_0=(-1,-1),b=(4,0)$
- $c=(-2,-1),d=(0,5)$
- $a_1=(-6/5,-4/5)$
- case1 $$\begin{cases} P : & a_0 &\to &b\\ Q : & c &\to &d \end{cases}$$
- case2 $$\begin{cases} P' : & a_1 &\to & b\\ Q : & c &\to & d \end{cases}$$
- このとき、小麦生産の生産力は上昇したのだろうか、下落したのだろうか。
- はじめに、生産力とはそもそもどのようにして計算できるのか、case1 についてみてみる。
- 次の文の空欄[A]から[E]を埋めながら考えてみよう。
- 小麦生産の産出は$(4,0)$で変わらないのに、投入は$(1,1)$ から$(-6/5,-4/5)$に変わっている。
- ただ $(1,1)$から$(-6/5,-4/5)$の変化が、増大なのか減少なのか、見た目ではわからない。
- しかし、鉄生産Q があるから、$小麦x \to 鉄 1$ という生産ができる。
- $q = c + d = [A]$ だから $q_s = q \times [B] = (x,1)$ となる。
- つまり$x =[C]$。 この関係をつかえば、$ a_0 = ([D],0)$となる。
- したがて、小麦生産P: $([D],0) \to (4,0)$ となり、アウトプットをインプットで割った生産力は[E]となる。
9-1 の回答を + 8/11 ...1点以上 73%
解答と解説 9-1解答 - [A] $(-2,4) \quad\because\, (-2,-1)+(0,5)$
- [B] $1/4$
- [C] $-1/2 \quad\because (-2,4)\times 1/4 = (-(1/2),1)$ $つまり小麦1/2を鉄1に変えられるのだ。$
- [D] $-3/2 \quad \because 鉄1 = 小麦1/2 だから、a_0 =(-1,-1)=(-1-(1/2),0) = (-3/2,0)$
- [E] $8/3 \quad\because 4\div 3/2$
解説 - 鉄生産というのは、要するに、小麦を減らして鉄をふやすプロセスです。
- だから、「小麦生産Pで投入される鉄も、さかのぼれば、鉄生産Qで小麦からつくられた」と考えられる。
- けっきょく、小麦生産Pで投入された鉄も、小麦に置き換えることができる。
- 通してみると、鉄(だけ)で小麦をつくる小麦生産P は、$小麦 (\to 鉄 ) \to 小麦$となり、
- 間を飛ばしてしまえば、$小麦 \to 小麦$ となる。
- こうなると、投入も産出も同種の小麦だから、$小麦 \div 小麦$ で何倍になったか、計算できる。というわけで、生産性がはかれるわけです。
After - $\color{red}{(-6/5,-4/5)}$ は $\color{red}{(6/5,4/5)} $ のミスタイプでした。
- 以下の問題でも同じミスタイプが続きます。
- ただその後のcase1, case2 の説明はミスタイプではありません。
問題 9-2 $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P : & {\color{red}{(1,1)} } \to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ が $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P' : & {\color{red}{(6/5,4/5)} }\to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ となった。 - つぎのようにベクトルを定める。
- $a_0=(-1,-1),b=(4,0)$
- $c=(-2,-1),d=(0,5)$
- $a_1=(-6/5,-4/5)$
- case1 $$\begin{cases} P : & a_0 &\to &b\\ Q : & c &\to &d \end{cases}$$
- case2 $$\begin{cases} P' : & a_1 &\to & b\\ Q : & c &\to & d \end{cases}$$
- case2 について、生産力を計算し、case1 と case2 のどちらが生産力が高いか、判定せよ。計算の過程も示せ。
9-2 の回答を + 2/4 ...1点以上 50%
解答と解説 9-2解答 - case2の小麦ベースの生産力:5/2
- case1 のほうが生産力は高い(case1 $\to$ case2 で生産力は低下した)。
解説 - 小麦1/2を鉄1に変えられるのだから $$a_1=(6/5,4/5) \sim (6/5+4/5\times 1/2,0) = (8/5,0)$$ となる。
- 小麦生産 P'$(6/5,4/5) \to (4,0)$は$$(8/5,0) \to (4,0)$$となる。
- したがって、小麦ベースでみた小麦生産の生産力は$$4\div 8/5=5/2$$
- $8/3 > 5/2$ となり、生産力はcase1のほうが高いことになる。
問題 9-3 $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P : & {\color{red}{(1,1)} } \to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ が $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P' : & {\color{red}{(6/5,4/5)} }\to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ となった。 - つぎのようにベクトルを定める。
- $a_0=(-1,-1),b=(4,0)$
- $c=(-2,-1),d=(0,5)$
- $a_1=(-6/5,-4/5)$
- case1 $$\begin{cases} P : & a_0 &\to &b\\ Q : & c &\to &d \end{cases}$$
- case2 $$\begin{cases} P' : & a_1 &\to & b\\ Q : & c &\to & d \end{cases}$$
- 小麦生産の生産力の次に、今度は鉄生産のほうの生産力についてみてみよう。
- 次の文の $\fbox{ A }$ から $\fbox{ C }$ に適当な数値、数式を入れながら考えてみよう。
- 鉄の生産方法は変わらなくても、小麦の生産方法が変われば、間接的な影響をうけて、鉄生産の生産力も変わる。これがポイントだ!
- case1 のとき
- 小麦1を生産するのに必要な鉄の量は $\fbox{ A }$ であるから、
- Q: $(2,1) \to (0,5) \implies (0, \fbox{ B } ) \to (0,5)$ となり、
- 鉄生産の生産力は $\fbox{ C }$ となる。
9-3 の回答を + 1/10 ...1点以上 10%
解答と解説 9-3解答 - $\fbox{ A }: 1/3, \fbox{ B }:5/3, \fbox{ C }:3$
解説 - $(-1,-1) \to (4,0)$ $a_0+b =(3,-1)$
- つまり鉄1を減らすことで、小麦3がふえる。小麦1ふやすには、鉄1/3を投入すればよい。$\cdots \fbox{ A }$
- $(-2,-1) \implies (0,-2\times 1/3-1) = (0,-5/3) \cdots \fbox{ B }$
- $5\div 5/3 = 3 \cdots \fbox{ C }$
問題 9-4 $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P : & {\color{red}{(1,1)} } \to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ が $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P' : & {\color{red}{(6/5,4/5)} }\to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ となった。 - つぎのようにベクトルを定める。
- $a_0=(-1,-1),b=(4,0)$
- $c=(-2,-1),d=(0,5)$
- $a_1=(-6/5,-4/5)$
- case1 $$\begin{cases} P : & a_0 &\to &b\\ Q : & c &\to &d \end{cases}$$
- case2 $$\begin{cases} P' : & a_1 &\to & b\\ Q : & c &\to & d \end{cases}$$
- 小麦生産の生産力の次に、今度は鉄生産のほうの生産力についてみてみよう。
- 次の文の$\fbox{ A }$から$\fbox{ C }$に適当な数値、数式を入れながら考えてみよう。
- 前問の続きです。
- case2 のとき
- 小麦1を生産するのに必要な鉄の量は$\fbox{ A }$であるから、
- Q: $(2,1) \to (0,5) \implies (0, \fbox{ B }) \to (0,5)$ となり、
- 鉄生産の生産力は$\fbox{ C }$となる。
9-4 の回答を + 3/9 ...1点以上 33%
解答と解説 9-4解答 - $\fbox{ A }: 2/7, \fbox{ B }:11/7, \fbox{ C }:35/11$
解説 - $(-6/5,-4/5) \to (4,0)$ $a_1+b =(4-6/5,-4/5)$
- つまり鉄4/5を減らすことで、小麦14/5がふえる。ということは、比例的に考えて、小麦1の投入は、鉄2/7の投入に置き換えることができる。$\cdots \fbox{ A }$
- $(-2,-1) \implies (0,-2\times 2/7-1) = (-11/7,0) \cdots \fbox{ B }$
- $5\div 11/7 = 35/11 \cdots \fbox{ C }$
- $case1の生産力:3 \to case2の生産力:35/11=3.18181818$
問題 9-5 $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P : & (1,1)\to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ が $$\begin{cases} \text{小麦生産 } & P : & (1.2,0.8)\to (4,0)\\ \text{鉄生産 } & Q : & (2,1) \to (0,5) \end{cases}$$ となった。 - このとき、全体で生産力は上昇したか、下落したか。理由を述べよ。
9-5 の回答を + 7/11 ...1点以上 64%
解答と解説 9-5解答 - 不可知
- きまらない
- ベクトルの大小を直接比較することはできないから。
解説 - 「全体で」ということは、けっきょく、$P+Q :(3,2)\to (4,5)$と$P'+Q: (3.2,1.8)\to (4,5)$ を比較することになります。
- つまり、同じアウトプット$(4,5)$をもたらす二つのベクトル、$(3,2)$と$(3.2,1.8)$とを比較して、大きくなったから小さくなったか,という問題になります。
- ノルム $\sqrt{3^2+2^2}=\sqrt{13}$と$\sqrt{(16/5)^2+(9/5)^2}=\sqrt{337}/5$で大小はきまる、と思うかもしれませんが、ノルムの大小がインプットの大小に対応する保証はありません。もともと、インプットのベクトルの大小は、鉄生産や小麦生産を表すベクトルに依存しているわけですから。
- 小麦生産の生産力をはかるときには、鉄生産のネットを表すベクトルを基準に使い、鉄生産の生産力を量るときには、小麦生産のネットを表すベクトルを基準につかっているわけです。
- つまり、違う基準を使って、小麦だけ、鉄だけのインプットにしてきたわけです。
- だから、小麦生産のほうを基準に考えれば生産力が下落したように、鉄生産のほうを基準に考えれば、上昇したように「現れる」わけです。
- 両者に共通なベクトル$(s,t)$をきめてやれば、内積 $(3,2)(s,t) \gtreqqless (3.2,1.8)(s,t)$ というスカラー値で大小は判定できます。
- しかし、$(s,t)$を決める客観的な理由が、ここまでの条件には含まれていない、これが問題の根本です。
- いつでも足せば全体になるだろうと考えるの安易です。「足す」というのはけっこうむずかしいのです。「全体で」という言葉は、そう軽々しく使うわけにはいきません。
- ....ということで、生産力を「はかる」とはどうすることなのか、図解してみます。
- さて、それにしても、「$a_0 \to a_1$が、小麦生産の生産力を低下させ、鉄生産の生産力を上昇させる」というのは、なにを意味しているのでしょうか?」
- これを問題にだしてもよいのですか、たぶん、ひと言で答えるのはむずかしいでしょう。
- そこで、次にちょっとした「補助線」をひいて、これをヒントに考えてゆきましょう。
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