概要
前回は、信用貨幣の実際のすがたについて、日本銀行券を例に説明しました。講義の後、バランスシートの意味がよくわからない、「負債+資本≡資産」 になるのはなぜ?という質問がありました。いきなりバランスシートでは無理もありません。だだし、バランスシートという用語にこだわる必要はありません。基本的な考え方がわかればOKです。
貸す=資産と、借りている=負債 が同時平行で進む関係を理解してもらえばよいだけです。同じような疑問を持った人も多いと思います。みなさんの顔を見ていてそう感じました。ここ、もう一度、黒板で説明しますので、まだ、よくわからなかったら、手を上げてください。あてたりしませんから...
不換銀行券の世界がわかって、はじめて仮想通貨はどこまで「貨幣」といえるのか?という問題に進むことができます。急がず、とことん、説明します。
講義の前に全銀システムのビデオを見ておいてください。
講義内容
信用貨幣
信用貨幣のすがた
- もう一度、日本銀行券を例に、スライドをつかって復習します。
- 「預金通貨」の意味も説明します。
信用貨幣の原理
- 貨幣=商品貨幣の基本機能は
- そのためのスペックは
の二つ。
- このスペックを満たすには、それ自身、価値を属性としてもつオブジェクトであることが条件となる。ただし、「価値を属性としてもつ」ということは、必ずしも、金のように、それ自体の物量と
を直接一体化させることと同義ではない。
- 不換銀行券のように、資産としての債権債務関係を通じて、間接的に
にリンクする方式でもOK。
- スペック2を満たす方式として、これまで機能してきたのは
の二つであった。
- 預金は銀行券の基本機能をすべて果たせるか。
+
| | ... |
- 「Aが預金を銀行券で引きだしてBに支払い、Bがそれを銀行に預金する」=「Aの預金額を減らして相手のBの預金額を増やす」にみえるが
- 銀行券には匿名性がある。だれがだれに支払ったか、という履歴はどこにも残らない。
- これは金貨幣の場合も同じ。
- 預金による支払ではこの履歴が必須。フローの履歴のうえに現在の残高が存在する。
| 匿名性 | 履歴 |
金貨幣 | ○ | × |
銀行券 | ○ | × |
預金通貨 | × | ○ |
仮想通貨 | ○ | ○ |
|
配布物
参考