訪問者:氏名不詳
信用貨幣 : 金貨ばかりが貨幣じゃない
▶概要
▼概要
- 今回は、現代の日本銀行券のような信用貨幣も、金貨のような金属貨幣と同じ商品貨幣である、という話をします。
- 前半では、金貨幣と日本銀行券とがそれぞれどのようなものか、その実態をみてゆきます。二つは、物品貨幣型と信用貨幣型のそれぞれ具体例です。
- 後半では、見かけは違っても、両者は商品価値を等価物で表示する価値形態の発展したすがたであることを説明します。こちらは、抽象的でちょっと難しい理論の話になりますが、できるだけわかりやすく解説します。
直接型:物品貨幣 $\supset$ 金属貨幣 $\supset$ 金貨
▶物品貨幣
▼物品貨幣
- 特定の商品の物量で、一般の商品の価値を表現するタイプの貨幣
▶金属貨幣
▼金属貨幣
- 持続性をもつ一般的等価物になる「特定の商品」には、たとえばタバコ貨幣のようなものもあったが
- 多くの場合、金属がその役割を果たしてきた。
- 金属は分割可能性とか、耐久性とか、といった物理化学的性質において貨幣量の単位に使いやすいため、
- さまざまな商品の価値(全面的括潜在的な交換可能性)の大きさを表現する材料に使われてきた。
問題 6-1
金1グラムに値する銀 のグラム量は、超長期でみると、だんだん大きくなる。なぜか?
6-1 の回答を +
13/133 ...1点以上 10%
▶解答
▼解答
金属の価値は、鉱石から金属を取りだし加工する精錬、冶金技術の発達によって左右されてきた。
金は自然界に酸化せずに存在。これに対して銀はさまざまな化学結合をした状態で存在。
酸化還元などの技術が発達すると、金の生産コストは一定なのに、銀の生産コストは下落。
金1グラムを得る労力で、銀は2グラム、3グラムとどんどんふえてゆく。
これが超長期のトレンドをきめていた。
もちろん、金鉱山、銀鉱山の発見など、多くの偶然的事情で、長期のトレンドは変化し、
さらに貨幣制度など、社会的な要因で短期の変化は発生するが。
金閣寺、銀閣寺、どっちの方がゴージャスだったか、など、雑学(トリビア)によくきく。
▶after
▼after
- 厳密にいうと、正解はゼロ。
- 「酸化しやすい」(1点にしましたが)ではなく、自然界においてすでに「酸化している」が正解への第一歩。
- 銀のほうは「酸化している」 から精錬する必要がある。
- 精錬の技術(2点にしました)が発達 → コストダウン
- 金は基本、酸化していないので、このコストダウンの効果が微々。
- ゆえに、コストの差がひらいてゆく
- 金銀のレートの値(1g:10g)ではなく、この値の変化(1g:10g→1g:11g→1g:12g ...)とひらいてゆく理由を尋ねているのです。
- 銀のほうが「錆びやすい」「酸化しやすい」は、1000年前も、2000年前も「変わらない」。だから、時代とともに差がひらいてゆくという現象を説明には使えないのです。論理的に!!
- 《これから》「酸化する」のではなく、時間を逆まわしにして、それなら、自然界で《すでに》「酸化している」はずだと考える、この逆転が理論的直観の力。
- 希少性、嗜好の変化は、現象レベルの言い換えで、現象を引きおこした理由にはなりません。
- 金銀比価⇄希少性
- この問題、論理の力で解こう、といっているのですが、実はすでによく知られたトリビア問題、インターネット検索すると、それらしき問題と解答がでてきます。その意味では、検索・コピペのコンピュータ(を駆使する人)にかなわないかも...
- もう少し一般化してみると、
- 《結果》として目に見える現象(事実)から、
- 背後の《原因》の理論をどうやって導きだすか
という問題。
- ふつう、「正しい理論」があれば、 《原因》 → 《結果》 のかたちで説明できるが、
- そんな「正しい理論」がはじめから、ころがっているわけではない(検索したってダメ)。
- 《結果》 → 《原因》 に反転して、理論は自分のアタマでつくるもの。
- コンピュータは、 《原因》 → 《結果》型の推論には強い。といっても早くて正確なだけだが。
- 「底辺、高さ → 三角形の面積」 の計算は早い。
- 「三角形の面積ってどう定義したら一般性をもつの?」ときくと??? 《結果》 → 《原因》型の推論には弱いんだ。
- って、この最後の一般化のところで、なんか、ダマされてるような気がする人、その直観をだいじにしよう。ダマされてるんだ、きっと! 次の問題で考えみよう。
問題 6-7
「コンピュータは、 《原因》 → 《結果》型の推論には強いが、 《結果》 → 《原因》には弱い、っていうけれど、最近のコンピュータは 《結果》 → 《原因》 だって強い。」 という人もいます。
間違ってはいません。ただこのときの 《結果》 には、制約条件があります。どんな制約条件があると考えますか?
あくまで、「制約条件がある」が真だとして、この立場から考えてください。「私はそんなものないと思うわ」じゃなく。たとえば顔認証とか、自動翻訳なんか、イメージしてみたらどうでしょう。
▶解答
▼解答
▶解説
▼解説
▶金貨幣
▼金貨幣
間接型:信用貨幣 日本銀行券など。
ポイント 物品貨幣だけが商品貨幣ではない。信用貨幣も立派な商品貨幣である(教科書 48頁の場合分けをみてください)。
▶銀行券
▼銀行券
- 「信用」の詳しいしくみは、このあと銀行制度のところで説明します。
- ここでは、日本銀行券を例に説明します。
- 銀行券そのものは紙製の「証書」に過ぎません。
- 紙券そのものの製造費が、銀行券の「価値」ではありません。
- 銀行券は銀行の負債(銀行に対する債権)です。
- 銀行の負債は、その額以上の銀行の債権で保証されています。
- 銀行の債権は、誰かが銀行に債務を負っていることを意味します。
- その債務を支払うには、商品を売って支払代金を得る必要があります。
- 債権は間接的にこの商品と結びつています。
- 日本銀行券は....
問題 6-2
次の文の( A )から( C )に該当する用語を順番に、半角スペースで区切って答えよ。
債権は、特定の条件を満たせば、( A )になることができる。
その条件とは、返済されるものがタダのものではなく( B )であることである。
( B )であれば、必ず( C )があり、それを受けとる権利である債権も、一定の( C )をもつ。
それゆえ、( A )はただのモノではダメで、客観的に数えられるモノの量(物量)が一定の( C )と結びついていなくてはならないという、その必要充分条件を債権も充たすのである。
6-2 の回答を +
112/131 ...1点以上 85%
▶解答
▼解答
問題 6-3
次の文の( A )から( C )に該当する用語を順番に、半角スペースで区切って答えよ。
現在、日本銀行の保有する資産の大半は長期の国債である。
それは何年も先にならないと返済されない債権だが、
それでも、日本銀行券で商品の価値表現つまり値づけができるのは、
国債という債権の返済が確実だから、というだけではない。
国債は、有価証券として証券市場で売買される( A )であり、
したがって、一定の( B )をもっているからである。
たしかに、日本銀行の資産は、基本的に期限がきたら一定額を返すという債権型の資産で構成されている。
しかし、日本銀行券が値づけに際して( C )になりうるのは、《将来》の返済の確かさだけではなく、その債権が同時に、《現在》の( B )として性格をもっているからである。
6-3 の回答を +
117/125 ...1点以上 94%
▶解答
▼解答
▶解説
▼解説
- ただの紙切れではなく、銀行の「負債」A を表す「証書」であること
- 銀行のもつ「債権」B はこの「負債」Aを上まわること
- 銀行のもつ債権を支払うのに充分な価値をもつ商品 C が存在すること
によって、
負債 A 100兆円 ← 債権 B 100兆円 ← 広い意味でのさまざまな商品=資産 C の100兆円 価値
というかたちで
1万円札 の背後には1万円の価値をもつ商品が現存する
ことを確認しておきます。
問題 6-4
①日本の人口を1億人で単純に平均計算すると、日本銀行のホームページをみるかぎり、一人あたりおよそ何枚の一万円札をもっていることになるだろうか?
②ところが、どうもこういう平均計算で現実は説明できない。消えた一万円札のありかはどこか?。
6-4 の回答を +
6/44 ...1点以上 14%
まとめの問題
問題 6-5
「 物品貨幣だけが商品貨幣ではない。信用貨幣も立派な商品貨幣である。」このようにいえる理由をできるだけ短く答えてください。
6-5 の回答を +
49/102 ...1点以上 48%
問題 6-6
次の文は真か偽か、理由も述べよ。
「商品貨幣とは物品貨幣のことである。」
6-6 の回答を +
78/112 ...1点以上 70%