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問題 12-20
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0/26 ...1点以上 0%
労働時間と価格
ネライ
- 生産物の生産に必要な労働時間はどのように決まるのか。
- 労働時間と価格の根本的な関係を理解する。
全般的な注意
- 今回から、::さまざまな労働が、さまざまな「労働対象」をさまざまな「目的物」(生産物)に「する」:: という「社会的再生産」を量的に捉える方法を考える。
- 以下では、極端な単純化を進めた数値例で基本的な関係を洞察する。
- データを入れて実証できるモデルではない。社会的再生産の基本を抽象的に理解するための「理論」である点に注意。
単一生産物の世界
問題 12-1
小麦120トン を播いて小麦240トンを収穫するに、延べ180時間の労働を要した。
- $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
小麦$1_{トン}$を生産するに必要な労働時間は何時間になるか。計算式も書くこと。
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16/35 ...1点以上 46%
解答と解説 12-1 解答
$$180_{時間}\div(240_{トン}-120_{トン})=1.5_{時間/トン}$$
注意
このあと、数値例がでてきますが、あくまで基本的な関係を理解するための例解 イラストです。小麦で小麦を生産するって?肥料はどうなるの?とか、具体例として考えるとヘンな点がでてきますが、本質的な関係を抽象的に「洞察」するのが目的だ!ということで、現実との齟齬は無視してください。
解説
- $240_{トン}$を「粗生産物」、$240_{トン}-120_{トン}$を「純生産物」とよぶのでした。
- $180_{時間}$の労働が生産しているのは純生産物生産物のほうです。
- $1_{トン}$ 生産するのに必要な労働時間 $t_{時間/トン}$ を「投下労働時間」とよぶ。
After
- 原料の小麦$120_{トン}$も含めて全体を考えると
$$120_{トン}\times t_{時間/トン}+180_{時間}=240_{トン}\times t_{時間/トン}$$ - 生産の前後で、労働時間の総計は変わらない!
- これで方程式が書けるわけです。
問題 12-2
資本家が賃金労働者を雇って小麦を生産している状態を考える。
- $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
- 小麦の価格が$900_{円/トン}$
- 時給が$450_{円/時間}$
このとき、小麦$1_{トン}$を買うのに何時間はたらく必要があるか。計算式も書くこと。
12-2 の回答を +
19/29 ...1点以上 66%
解答と解説 12-2 解答
$$900_{円/トン}\div450_{円/時間}=2_{時間/トン}$$
解説
- 時給を$w$ 小麦価格を$p$とする。
- $1_{トン}$を 買うのに必要な労働時間 $$\displaystyle p_{ 円/トン} \div w_{ 円/時間}=\frac{p}{w}_{ 時間/トン}$$ を「支配労働時間」とよぶ。
- 12-1で求めた時間 $t$のほうは「投下労働時間」とよぶ。
- 「支配」の意味は、小麦1トンがあれば、それで労働者を傭い$p/w$時間の労働を「支配」できるということ。commanded labour hour,「投下」はinvested.
問題 12-3
支配労働量$p/w$の逆数 $w/p$はなにを意味するか。
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10/35 ...1点以上 29%
解答と解説 12-3 解答
1時間の労働で何トンの小麦が手に入るか。
小麦で評価した賃金の購買力
解説
- 労働 1時間あたりで手に入る小麦の物量です。1時間で何円稼げるかでは、賃金のほんとの重みはわかりません。商品の価格$p$が上がっていれば、時給$w$が多少あがっても、買える商品の量は減ってしまうかもしれません。
- この意味で$w$は「名目」nominal の時給で、$w/p$が「実質」real の時給です。
- ここまで「時給」といってきたのですが、時間あたりの賃金額を「賃金率」といいます。$w/p$は「実質賃金率」です。
- 注意:「率」という言葉に誤魔化されないこと!賃金率は、利子率や利潤率のような無名数の比率$\%$ではありません。あくまで時間あたりの「額」です。
問題 12-4
- $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
- 小麦の価格が$900_{円/トン}$
- 時給が$450_{円/時間}$
純生産物のうち、資本家が手に入れる小麦の総量は何トンか?
12-4 の回答を +
4/31 ...1点以上 13%
解答と解説 12-4 解答
$$(240_{トン}\times 900_{円/トン}-120_{トン}\times 900_{円/トン} - 180_{時間} \times 450_{円/時間} ) \div 900_{円/トン} = 30_{トン} $$
解説
- 粗生産物 $240_{トン}$ ではなく、そこから、はじめに投入した$120_{トン}$を取り除いた、残りの純生産物のなかで、どれだけを資本家が自由にできるのか、という問題です。
- 粗生産物を売ると240_{トン}\times 900_{円/トン}の収入。そこから原料代$20_{トン}\times 900_{円/トン}$と賃金総額$180_{時間} \times 450_{円/時間}$を引くと、資本家の収入金額がきまります。この金額を小麦価格$900_{円/トン}$で割れば、小麦で評価した収入$30_{トン}$がでてきます。
- 整理すると次のようになる。
$$120_{トン} - 180_{時間} \times (450_{円/時間} \div 900_{円/トン}) = 30_{トン} $$ - $(450_{円/時間} \div 900_{円/トン}$は$w/p$で「実質賃金率」です。
- 実質賃金率が上昇すれば、資本家の「実質利潤」は$30_{トン}$以下に低下します。逆に実質賃金率が低下すれば資本家の「実質利潤」は$30_{トン}$以上に上昇します。
- 労働者の取り分から計算するほうが簡単かもしれません。
$$180_{時間}\times450_{円/時間} \div 900_{円/トン} = 90_{トン}$$ - 純生産物 $240_{トン}-120_{トン}$ からこの$90_{トン}$を引けば、やはり$30_{トン}$となります。
- 要するに、$$純生産物 120_{トン} = 労働者の取り分 90_{トン}+資本家の取り分30_{トン}$$ となっているわけです。
- 資本家からみた分配率は$$30_{トン}/120_{トン}=1/4=25\%$$です。
- 比率の問題としてなにを分母にとるかで、$$30_{トン}/90_{トン} = 1/3 \fallingdotseq 33.3\%$$ という比率も考えられます。マルクス経済学で「剰余価値率」とよばれているのはこちらの比率です。
問題 12-5
- $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
- 小麦の価格が$900_{円/トン}$
- 時給が$450_{円/時間}$
小麦1トンを「生産するのに必要な労働時間:X」と(B)「買うのに必要な労働時間:Y」ではどちらが大きいか。
XとYの間の差は、資本家と労働者の間の関係としてみたとき、なにを意味しているか。
12-5 の回答を +
18/29 ...1点以上 62%
解答と解説 12-5 解答
- $Y$
- 労働者は、ある時間で生産できる商品を、それ以上の時間、労働しないと買えない。
- 資本家は、ある時間で生産できる商品で、それ以上の時間の労働を手に入れることができる。
解説
- 「投下労働時間 1.5 < 支配労働時間 2 」 $\Longrightarrow$ 「2時間はたらいて1.5時間分の商品しか買えない」$\Longrightarrow$ 「30分搾取されている」ということ。
- つまり1時間はたらくとき、45分は自分のため、残りの15分は資本家のためにはたいているということ。
- だから、$$15_{分}:45_{分} = 資本家の取り分 30_{トン}:労働者の取り分90_{トン}$$になっている。
12月15日の講義はここから
講義を聴くまえに次の点をしっかり確認しておこう。
復習
- 生産に必要な労働時間の求め方とその意味
- 購買に必要な労働時間の求め方とその意味
- 二つの労働時間の差 $p/w-t$ の意味
- ここでやっているのは、まず"需要供給の均衡で価格は決まります" という財の交換比率を考えるミクロ経済学の価格理論ではありません。
- 価格はまず"純生産物を分割分配関係をきめる"というマルクス経済学の価値理論です。
問題 12-6
- $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
- 小麦の価格が$900_{円/トン}$
資本家の取り分がなくなるのは、時給がいくらになったときか。式も書くこと。
12-6 の回答を +
22/31 ...1点以上 71%
解答と解説 12-6
解答
$$120_{トン} \times 900_{円/トン} \div 180_{時間} = 600_{円/時間}$$
問題 12-7
- $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
- 小麦の価格が$900_{円/トン}$
- 時給が$600_{円/時間}$
このとき、小麦1トンを「生産するのに必要な労働時間:X」と(B)「買うのに必要な労働時間:Y」ではどちらが大きいか。式も書くこと。
12-7 の回答を +
15/28 ...1点以上 54%
解答と解説 12-7 解答
$X=Y=1.5_{時間/トン}$
解説
- 計算してみるまでもありません。搾取されていないのだから、その生産に必要な時間だけはたらけば、その生産物全部が手に入ります。
- いちおう計算すれは.... $$「生産に必要な労働時間」=180_{時間} \div 120_{トン} = 1.5_{時間/トン}$$ $$「買うのに必要な労働時間」=900_{円/トン} \div 600_{円/時間} = 1.5_{時間/トン}$$
問題 12-8
小麦価格が$900_{円/トン}$から$1200_{円/時間}$に上昇したとする。
- $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
- 小麦の価格が$1200_{円/トン}$
- 時給が$450_{円/時間}$
このとき、純生産物のうち、労働者が手に入れられるのは何トンか?計算式もかけ。
12-8 の回答を +
12/25 ...1点以上 48%
解答と解説 12-8 解答
$$180_{時間}\times450_{円/時間}\div1200_{円/トン}=135/2_{トン}=67.5_{トン}$$
解説
- 物価(小麦価格)が上がったので、労働者の小麦で評価した実質所得は$90_{トン}から67.5_{トン}$に減少した。
問題 12-9
- $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
- 小麦の価格が$1200_{円/トン}$
- 時給が$450_{円/時間}$
このとき、小麦で評価した資本家サイドの実質所得は?式も書くこと。
12-9 の回答を +
13/28 ...1点以上 46%
解答と解説 12-9 解答
$$120-67.5=52.5_{トン}$$
解説
- 実物で考えれば、$純生産物=労働者の収入+資本家の収入$
問題 12-10
- $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
- 小麦の価格が$1200_{円/トン}$
- 時給が$x_{円/時間}$
小麦価格が$1200_{円/トン}$のときの剰余価値率(=資本家と労働者の分配比率)$30/90=1/3$に戻すには、時給$x_{円/時間}$をいくらまで引き上げる必要があるか?式も書くこと。
12-10 の回答を +
7/22 ...1点以上 32%
解答と解説 12-10 解答
$$900/450=1200/x, x = 600_{円/時間}$$
解説
- 要するに、支配労働量 $p/w$ が変わらないようにすればよい。
- $p/w$ が変わらないということは、$w/p$ つまり「実質賃金率」が変わらないということと同義。
- 物価が$33.3...\%$上昇したとき、賃金率も$33.3...\%$あがれば、分配率は変わらない。
- .... というのは、生産物が小麦1種の世界でいえること。複数の生産物で構成される世界ではどうなるのか、次回以降に考えます。
- 単純化された世界でまず、"商品価格と賃金率によって、資本家と労働者の間の分配関係が決まる"という基本関係をしっかり「洞察」しておこう。
- さらに、生産力が変化したおき、分配関係がどう変化するのか、この問題も次回以降に。
問題 12-21
12-21 の回答を +
0/1 ...1点以上 0%