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問題 13-20

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 生産力 

ネライ

  • 単一生産物の世界が大きな経済の抽象化であることを理解する。
  • 「生産力があがる」とはどういう事態をいうのか、単一生産物の世界で考える。
  • パーセント計算の基本を学ぶ。

この講義の設例

単一生産物の世界(続き)

大きな経済(補足的な示唆)

問題 13-1

ここで考えているのは、たとえば日本経済といった大きな世界を、極端に単純化したミニチュアである。複雑な現実とのギャップはあまりにも大きい!! ...が一面において、価格が分配関係を左右するという本質が確認できる。現実と理論の間の、抽象化された対応を少しだけみておこう。


はじめに、これまで$180_{時間}$としてきた「総労働時間」について。

  1. 総人口が12000万人で、そのうち労働人口(賃金労働者の総数)が5000万人と仮定。
  2. 全員が一律に1日8時間労働、週休5日プラス祭日で、年に250日はたらく。

年間の総労働時間$L$を求めよ。式も書くこと。

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解答と解説 13-1

解答

$$8\times 250 = 2000時間$$ $$ 2000 \times 5000万 = 1000億時間 = 1.0 \times 10^{11}$$
問題 13-2

内閣府の統計によれば、日本のGDPはおよそ$550兆円$程度で推移している。

ただし、これには固定資本減耗分が$100兆円$程度含まれているので、これを除くと$450兆円$ほどになる。これが「純生産物」の価額になる。

総労働時間が1000億時間であるとすると、1時間あたり、何円の純生産物を生みだしていることになるか。式も書くこと。

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解答と解説 13-2

解答

$$450兆円=4.5 \times 10^{14}円$$ $$450兆円/1000億時間 = 4.5 \times 10^{14} /1.0 \times 10^{11}時間=4500円$$
問題 13-3

賃金率が一律$3000円$だとすると、賃金所得の総額はいくらになるか。計算式も書くこと。

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解答と解説 13-3

解答

$$3000_{円/時間}\times 1000億時間 = 300兆円$$
問題 13-4

純生産物のうち何パーセントを労働者は受けとっていることになるか。式も書くこと。

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解答と解説 13-4

解答

$$300/450 = 2/3 \fallingdotseq 0.666$$ $$約 67\%$$
問題 13-5

GNPから資本減耗を控除した$450兆円$はフローの額か、ストックの額か。また賃金総額$350兆円$はフローの額か、ストックの額か。

フローとストックを定義して答えよ。

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解答と解説 13-5

解答

ストックは、ある一時点において実際に存在する商品および貨幣の金額。フローは、ある期間を通じて売買された商品の価格を加算してた累計額。

いずれもフローである。

解説

販売価格のうち、原材料費が占める割合を5割だとすると、そのフローの額は$450兆円$になる。

したがって $$小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$$ は $$450_{兆円} + 労働 1000_{億時間} \longrightarrow 900_{兆円}$$ というイメージになる。


注意1:講義の説例は1回の生産を意味しているので、フローとストックの区別は必要ありません。

注意2:GNPはいろいろな種類の商品で構成されているが、これを小麦のような単一の生産物、「実物」$Y$とみなし、その価格を$p$と仮定すると $$450/p_{?} + 労働 1000_{億時間} \longrightarrow 900/p_{?}$$ のように、小麦の例により近くなる。

しかし、この実物$Y$は正体不明。

価格ベースのGNPを「物価」$p$で割って求めた計算値。$pY$を想定している既存のマクロ経済学は、その基礎がきわめて脆弱。

異なる商品を集計するための「相対価格の決定理論」を内部にもっていない。それはミクロ経済学の仕事というが、ミクロ理論の価格決定理論を組みこんでいるわけではない。

マルクス経済学は、価格決定理論をベースに集計した全体像の理論になっている。そのいちばん単純なかたちが、次回以降の講義のテーマになります。

生産力

問題 13-6

「生産力が上昇した」とか「下落した」とか、よく耳にすると思う。

しかし、具体的にはどういう事態をいうのか。

この講義の今までの内容との整合性を考えたとき、次のケースで、どこがどうなったときに、「労働の生産力が上昇した」といえるのか。どの数値が、たとえば、いくつからいくつに、変わったとき、か?

  1. $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
  2. 小麦の価格が$900_{円/トン}$
  3. 時給が$450_{円/時間}$

100 -> 200, 300->400 ...など(必要最低限な範囲で複数可)で示せ。

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解答と解説 13-6

解答

  1. $小麦120_{トン} \to 小麦160_{トン}$
  2. $小麦240_{トン} \to 小麦320_{トン}$

解説

  • 「生産力」という用語は多義的に用いられている。明確な定義を与えていないこの段階では、回答にかなり自由度があります。
  • しかし、ここまでの「講義内容」を前提にすると、すでに一定の制約があります。それは、基本的に$$小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$$ における変化である、ということです。問題12-10までは、生産力を変更せず、価格と賃金率の変化については考えてきたわけですから。

  • ということで、うえの「解答」は「たとえば」の一例。数値は自由。
  • 基本的に期待しているのは、労働 $180_{時間}$で播かれる小麦の量が増大し
  • その結果、小麦の粗生産量が増大するケース。
  • 一定時間に加工できる原材料が増え、その結果、粗生産物も増大するのが、いちばん考えやすい事態でしょう。これを標準にします。
  • 無論、小麦の粗生産量だけが増大するケースが増大するケースや、小麦の投入量が減少するケース、小麦の投入産出が一定で労働量が減少するケース、など、いろいろ考えられます。
  • ただ、賃金率や価格を変更したものは不可。
問題 13-7

次の4つのケースについて、小麦$1_{トン}$の生産に必要な労働時間を求めよ。計算式も書くこと。

$$小麦160_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦320_{トン}$$$$小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦320_{トン}$$$$小麦90_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$$$$小麦120_{トン} + 労働 150_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$$
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解答と解説 13-7

解答

$$180_{時間}/(320_{トン}-160_{トン})=1.125_{時間/トン}$$ $$180_{時間}/(320_{トン}-120_{トン})=0.9_{時間/トン}$$ $$180_{時間}/(240_{トン}-90_{トン})=1.2_{時間/トン}$$ $$150_{時間}/(240_{トン}-120_{トン})=1.25_{時間/トン}$$

解説

$$A+L \longrightarrow B$$

問題の4つのケースは次のように整理される。

  1. $B/A \to,\quad L/A \searrow,\quad L/B \searrow$
  2. $B/A \nearrow,\quad L/A \to,\quad L/B \searrow$
  3. $B/A \nearrow,\quad L/A \nearrow,\quad L/B \to$
  4. $B/A \to,\quad L/A \nearrow,\quad L/B \to$

$$ At + L = Bt$$ $$\therefore\quad \displaystyle t = \frac{L}{B-A} = \frac{L/B}{1-A/B}$$
問題 13-8

ケース1:

  1. $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
  2. 小麦の価格が$900_{円/トン}$
  3. 時給が$450_{円/時間}$

ケース2:

  1. $小麦160_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦320_{トン}$
  2. 小麦の価格が$900_{円/トン}$
  3. 時給が$450_{円/時間}$

ケース1からケース2に移ったとき(生産力がアップしたとき)、$$\displaystyle 分配率\quad m = \frac{資本家の小麦収入}{労働者の小麦収入} = \frac{資本家のためにはたらく時間}{労働者自身のためにはたらく時間}$$は何パーセントポイント変化するか。式も書くこと。

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解答と解説 13-8

解答

$ケース1:(900/450)(120/180)-1=2\times 3/2-1=1/3 \fallingdotseq 33\%$

$ケース2:(900/450)(160/180)-1=2\times 9/8-1=7/9\fallingdotseq 77\%$

したがって分配率は、約$44$パーセントポイント、資本家に有利にアップした

解説

分配率を決める式は

$$\displaystyle m = \frac{p/w -t}{t} =\frac{p}{w}\times\frac{1}{t} -1 =\frac{p}{wt} -1$$

最後の式は$\displaystyle\frac{小麦価格}{貨幣賃金額}-1$を意味します。


パーセントとポイント
  • なお、$44$「パーセント」上昇するのではなく、$44$「パーセントポイント」上昇する、あるいは$44$「ポイント」上昇するという点も注意。
  • 経済現象に関して、しばしばパーセントの差を計算するのですが、あくまで便宜的な指標です。
  • $5\%$から$8\%$でも、$95\%$から$98\%$でも、「$3$ポイント上昇した」といいます。
  • しかし、$108/105\fallingdotseq 1.02857143$ですが、$198/195\fallingdotseq 1.01538462$です。
  • だから「毎年$3$ポイントの成長をキープしている」ということは、「成長率がだんだん低下している」ということを意味します。
  • $103/100=1.03$ですから、$100\% \to 103\%$ のときは、パーセントの差であるポイントと実際の変化率は一致ますが、$0\%$とされた基準値からズレれば、ポイントと実際の変化率のギャップはどんどん大きくなってゆきます。
  • 要するに基準値に近い数ポイントのところで、概数としてポイントを使うことには一定の意味があるのですが、何十パーセントにもなった状態をポイントで語ると、錯覚を生むことになります。
問題 13-9

ケース1:

  1. $小麦120_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦240_{トン}$
  2. 小麦の価格が$900_{円/トン}$
  3. 時給が$450_{円/時間}$

ケース2:

  1. $小麦160_{トン} + 労働 180_{時間} \longrightarrow 小麦320_{トン}$
  2. 小麦の価格が$900_{円/トン}$
  3. 時給が$w_{円/時間}$

ケース1からケース2になったとき、分配率が変化しないようにする$w$の値を求めよ。計算式も書くこと。

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解答と解説 13-9

解答

$$\frac{900}{450}\times\frac{240-120}{180} -1= \frac{900}{w}\times\frac{320-160}{180} -1$$ $$ w = 600$$

解説

    $p$が一定なのだから、実質賃金額$(tw)/p$を同じに維持するには、$t\searrow$ を$w\nearrow$ で相殺されればよい。 $$\displaystyle \frac{180/(240-120)}{180/(340-160)}\times\frac{450}{w}=1$$ より$w=600$を求めてもよ。

問題 13-10

生産力が上昇し「生産に必要な労働時間」が5パーセント減少した。

このとき、分配率が変わらないようにするには、実質賃金率も5パーセント上昇しなければならない。

真か偽か、理由を述べよ。

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解答と解説 13-10

解答

  • 概数として考えれば真。
  • 厳密にいえば偽。
  • 分配率は「生産に必要な労働時間」と「購買に必要な労働時間」の比率によって決まる。
  • 実質賃金率が5パーセント上昇すれば、その逆数である「購買に必要な労働時間」は5パーセント減少し、「生産に必要な労働時間」の5パーセントの減少をほぼ相殺するから。

解説

  • 分配率は$$\displaystyle m = \frac{p/w}{t} - 1$$
  • したがって、「実質賃金率$w/p$」の逆数$p/w$ と「生産に必要な労働時間$t$」の比率 $$\displaystyle\frac{p/w}{t}$$ が一定なら$m$ も一定。
  • 解答の ほぼ の意味を以下で説明する。
逆数の変化率
  • 「ある数が$r\%$増加すれば、その逆数は$r\%$減少する」は真か偽か?
  • $$a \to a(1+r) \Longrightarrow 1/a \to (1/a)(1-r)$$ はOKか?という話です。答えは$r$が小さいとときは、概数としてOK
  • $$\frac{1/(a(1+r))}{1/a}=\frac{1}{1+r}=\frac{1-r}{(1+r)(1-r)}=\frac{1-r}{1-r^2}\fallingdotseq 1-r $$
  • $r^2$ は $r$ に比べてずっと小さくなるのでゼロと見なせば、概数として$\displaystyle\frac{1}{1+r}$ は$1-r$となる。つまりもとの値が$r\%$増大すれば、逆数のほうはほぼ$r\%$減少する。
  • 5パーセントの増大で$1.05$になった数の逆数は$1/1.05=0.95238095\fallingdotseq 0.95$で約5パーセント減少している。
  • 因みに無視した$r^2=0.05^2=0.0025$を考慮して補正してやると$(1-0.05)/(1-0.0025)=0.95238095$となって、実際の逆数の変化率になる。
  • 逆数の減少率は、もとの数の増加率より、若干大きくなるので、細かいことをいってくる人と話すときはアタマに入れておこう。
商の伸び率 $\fallingdotseq$ 分子の伸び率 - 分母の伸び率
  • 商$(a/b)$の変化率は、変化率が小さいところでは、分子 $a$ の変化率と 分母 $b$ の変化率の差になる。
  • 一般に$\displaystyle\frac{a}{b}$で微少な増量を$\Delta$をつけて表わすことにすると
  • $$\displaystyle \frac{(b+\Delta b)/(a+\Delta a)- (b/a)}{(b/a)} =\frac{a(b+\Delta b) -b(a+\Delta a)}{a(a+\Delta a)}\times \frac{a}{b} =\frac{a\Delta b - b\Delta a}{(a+\Delta a)b} =\frac{\Delta b/b -\Delta a/a}{1+\Delta a/a} \fallingdotseq \Delta b/b -\Delta a/a$$
  • たとえば$$ 20/10 \to 26/11$$ になったとする。分子が$30\%$上昇し、分母が$10\%$上昇したのだから、その差は$20$パーセントポイント。
  • しかし、$$\frac{26/11}{20/10} = 1.18181818$$ であるから、商の伸び率は約 $18\%$ で$2$ ポイントほどのズレがある。
  • これは分母の$\Delta a/a = 0.1$を無視したことによる。ちなみに、この$0.1$を加えて補正してやると、$(0.3-0.1)\div(1+0.1) = 1.18181818$ となり、実際の伸び率 $\displaystyle\frac{26/11}{20/10} = 1.18181818$と一致する。
  • つまり$\Delta a/a$ がゼロに近いときは、$b/a$の増加率は$b$の伸びを表わすパーセントから$a$の伸びを表わすパーセントを引いた、パーセントポイントで考えてよい、ということになる。
  • ...ということで、$5\%$を小さいとみれば概数で、生産力と実質賃金率が同じパーセンテージで逆方向に動けば、ほぼプラマイゼロといってもよいことになる。
積の伸び率 $\fallingdotseq$ 項の伸び率の和
  • 因みに積全体のパーセント変化が、各項のパーセントの和に近くなる。
  • $$\displaystyle \frac{(a+\Delta a)(b+\Delta b)(a+\Delta a)- ab}{(ab)} =\frac{ab+a\Delta b + b\Delta a + \Delta a\Delta b -ab}{ab} =\frac{a\Delta b + b\Delta a + \Delta a\Delta b}{ab} \fallingdotseq \frac{\Delta a}{a} + \frac{\Delta b}{b}$$
  • これは$\displaystyle\frac{\Delta a\Delta b}{ab}=(\frac{\Delta a}{a})(\frac{\Delta b}{b})$ が無視できるほど小さい、という想定に立っている。
  • 一次の$\Delta$ をゼロの見なした商の場合より、二次の $\Delta^2$ をゼロと見なした積の場合の方が、より近似性が高い。$\Delta$ の一次の近似と二次の近似の差は無視できない。
  • これを拡張すると$$\displaystyle \frac{\Delta abc\cdots}{abc\cdots} \fallingdotseq \frac{\Delta a}{a} + \frac{\Delta b}{b} + \frac{\Delta c}{c} \cdots$$となる。例えば $abc$ で$a$が$2\%$, $b$が$3\%$,$c$が$-1\%$ 変化すれば、$abc$ 全体は(約)$2+3-1 = 5\%$ 上昇する。
問題 13-11

「労働者の所得が3パーセント伸び、資本家の所得が2パーセント伸びたとき、総所得は約5パーセント伸びる。」

真か偽か、理由を述べよ。

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解答と解説 13-11

解答

  • 総所得=労働者の所得+資本家の所得。積とは違い、和の増加分は各項の増加率の和にはならない。
  • 労働者の所得が総所得に占める割合が小さければ、その3パーセントの伸びは、資本家の所得の2パーセントの伸びより、総所得の伸びに寄与しない可能性があるから。
  • 総所得に占めるそれぞれの所得の比率でウエートづけして足す必要があるから。

解説

  • $$A=B+C \longrightarrow A(1+ \Delta A/A) = B(1+ \Delta B/B) + C(1+\Delta C/C)$$ のとき $$\Delta A = \Delta B +\Delta C$$ $$\frac{\Delta A}{A} = \frac{B}{A}\times\frac{\Delta B}{B}+\frac{C}{A}\times\frac{\Delta C}{C}$$
  • 和のときには、それぞれの伸び率パーセントに、各項が全体のなかで占める比率(寄与度)を乗じて足す必要がある。
問題 13-21

ここまでの内容で、質問があればどうぞ。

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Last-modified: 2022-12-24 (土) 07:55:25