訪問者:氏名不詳
商品貨幣
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問題 5-20
✔ 接続状態をおしえてください。
いまやっている話は、演繹型の理論、PならQ, QならR という積み重ねになります。数学と同じで、前回までのところが理解できていないと、今回の話についてこれなくなると思います。その意味で、復習が大事。
講義の前に、これまでのホームページにざっと目を通したこと、ありますか。
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0/86 ...1点以上 0%
本講のネライ
価値の「あり方」、価値存在をもとに、価値の「現れ方」現象形態を分析する。
貨幣の基本規定を与える。
価値と価格の区別を明確にする。
価値表現
商品の価値は、直接はかれる量ではない。したがって価値の単位というもの存在しない。
ただ、「真善美」などとは異なり、さまざまな商品と「交換できる性質」という特性のため、商品と商品の「関係」として、はかれるモノの世界に「現れる」。「現象する」という言い方もある。
直接知覚できない属性を、知覚できるモノで「表す」ことを「表現する」という。この言葉の使い方にしたがえば、「価値は何かで表現される」ということができる。
問題 5-1
ここにあるリンゴはどれも同じだ。 このバナナ3本はこのリンゴと同じだ。 1.も2.も「同じ」は同じだ。
真か偽か、理由を述べよ。
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68/96 ...1点以上 71%
解答と解説 5-1 解答 偽
1は、どのリンゴも、混ぜたら区別がつかない、という意味。 2は、バナナとリンゴはモノとしては違うが、バナナは3本でこのリンゴと置き換えられる、という意味。 解説 「置き換えられる」は「交換できる」でも可なのですが、あくまで「潜在的に交換できる可能性がある」という意味で、現実に直接「交換できる」という「できる」ではないことに注意してください。 思い切り短く「1はモノとして同じ、2は価値として同じ」でもひとまず可とします。あくまでひとまずですが.... さて、細かい話しはさておき..... 2.は、見た目は「違うが」、見えない「何か」(性質,属性)が「同じ」だという屈折した言い方です。 しかし、日常語では2のような使い方は無意識によく使うでしょう。だれも、「バナナとリンゴは違うのだ、同じといってはいけない」などとやかましいことはいわないでしょう。 ただ、これは1と2は、論理的には区別すべきです。この講義では、このあと、「同じ」は1にかぎり、2は「等しい」ということにします。 英語でも、'''same''' に対して '''equal''' という単語があります。どう使い分けているのでしょうか? 少なくとも日本語では「同じ」と「等しい」はしばしば同じ意味で使われています。たぶん「ここにあるリンゴはみんな等しい」といっても通じるでしょう。 ただ、この講義は原論ですから、厳密に区別して使い分けることにします。これは「約束事」です。 After 多くが「ひとまず可」とした「1はモノとして同じ、2は価値として同じ」型の回答でした。 なんで「ひとまず」なのでしょう? 価値は直接ははかれない、だから、価値に単位なし。 ...だとすれば、はかれないリンゴの価値とバナナの価値が量として直接「同じ」ということはできないはず。 ...なので「解答」では「バナナは3本でこのリンゴと置き換えられる 」としたわけです。 すごくデリケートな違いですが、微細な違いを正確に見分けられる''センス''を磨きましょう。 回答のなかには、たとえば43番のように「2.はバナナ三本分の価値がこのりんごと同じであることを示している」というように「リンゴの価値と同じ」ではなく「リンゴと同じ」としているものがありました。もし「リンゴの価値」が''わからない''ことが''わかって''いて、「リンゴと同じ」と逃げたのなら、なかなか''いいセンス''なのですが... この問題があるから、「等価物」というタームが、ただの逃げでごまかすのではなく、より厳密に規定する手段として重要な意味をもつのです。
問題 5-2
「バナナ3本はリンゴ1個に等しい」は
(A)の物量による(B)の(C)の表現である。
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46/89 ...1点以上 52%
解答と解説 5-2 解答 (A)リンゴ (B)バナナ (C)価値
問題 5-3
(P)「バナナ3本はリンゴ1個に等しい」ならば(Q)「リンゴ1個はバナナ3本に等しい」。
真か偽か。理由を述べよ。
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35/94 ...1点以上 37%
解答と解説 5-3 解答 偽
Pはバナナの価値表現であり、リンゴの価値の表現 Q を意味しないから。 「同じ」は逆関係を含むが、「等しい」は含まないから。 解説 数学の等号 = は通常「同じ」を意味する。$$リンゴ10コ+リンゴ20コ = リンゴ30コ \Longleftrightarrow リンゴ30コ = リンゴ10コ+リンゴ20コ$$ しかし、「等しい」は等号関係ではない。「等しい」を$\sim$で表せば、$A\sim B \to B\sim A$ は成りたたない。 「等しい」というのは「AはBである」 'A is B.' に相当する。'He is a student.'でも'A student is he.'ではない。 その意味で、'A is B.' は'A is like B.' を含意する。「彼女は薔薇の花だ」というのは、美しさを代表するモノとして、薔薇の花を想像し、彼女の美しさはそれに「等しい」と表現しているわけである。 だから「彼女は薔薇の花だ」というときの「薔薇の花」は、実物の薔薇の花ではなく、実物の薔薇の花をアタマのなかでつくりなおしたイメージ、美しさの象徴、すなわち二次的な構成体なのだ。 要するに、「等しい」というのは「表現」であること、「等しい」とされる対象は、一次の実物ではなく、そのイメージ、二次的な構成体であること、OKでしょうか? したがって、表現は、一方向の指向性 $A\to B$ をもつ。これは、このあと貨幣の本質を理解するうえで決定的な意味をもつ。 これは逆に、等価物はそれを等価物とした商品に対して、その量でなら即座に交換できることを意味する。商品の価値が、潜在的な交換可能性であったのに対して、等価物は直接的交換可能性 をもつのである。
等価物
「バナナ3本はリンゴ1個に等しい」というときの「リンゴ1個」は、バナナの価値を表す手段として、実在するリンゴを材料に、新たに つくりだされた構成体(アタマのなかの考え)である。
このように価値表現のために、価値を物量と結びつけた構成体を等価物 equivalent とよぶ。
もう一度繰り返します。等価物というのは、現実の商品をもとに構成された二次的な概念です。実物と等価物をハッキリ区別しましょう。
あとで説明しますが、等価物の作り方、構成のしかたは、一通りではありません。これが、商品リンゴそのものを等価物に直接変換するタイプの貨幣(たとえば金貨)とは別のタイプの貨幣、今私たちがつかっている「日本銀行券」のような貨幣の存在を説明する基礎となるのです。
したがって、価値表現のプロセスは2段階になります。
他人の商品を材料に等価物を構成する。:リンゴを価値の代表にする。
自分の商品を等価物に等置する。:自分のバナナから3本を取りだして「等しい」と周囲に告げる。
問題 5-4
次の条件のもとで、リンゴの価値表現のプロセスをのべよ。
条件
いろんな商品があります。バナナがリンゴだからといって、リンゴがバナナでなければいけないわけではありません。リンゴはミカンで価値を表現するとします。 リンゴは1個とはかぎりません。自分はリンゴをたくさん、たとえば100個とかもっているとします。
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29/75 ...1点以上 39%
解答と解説 5-4 解答 商品ミカン10個を等価物とする。 リンゴ5個の価値はミカン10個に等しい、とみんなに告げる。 解説 順番が大事です。プロセスなのですから。 まず①等価物をつくり(構成し)、次に②自分の商品のある量がそれに「等しい」と宣言するのです。 この順で、直接は「はかる」ことのできないリンゴの価値の大きさ(価値量)が、ミカンのモノの量(物量)で「表現」され、結果的に「はかる」ことができる世界に「現れる」のです。 リンゴ5個の価値が、先に現れて、それがミカン10と「同じ」だというのではありません。 ここでちょっとだけ量の話をします。先回りした話しなので、いますぐに全部はわからないかもしれません。信用貨幣の話しが終わったところで、でもう一度読みかえしてみてください。 さて、その価値を表現するリンゴのほうは、実物のリンゴですから、1/2個とか、という実在しないリンゴがでてくる余地はありません。価値が表現される商品の物量は自然数です。 等価物のほうはどうでしょうか。解答ではミカン10個としましたが... 実物の商品ミカンの価値と商品ミカンの物量に直接結びつけるかぎり、実物でない1/2個のミカンは考えられません。 しかし、実物の商品ミカンを所有する「権利」に結びつけるなら、この制限はなくなります。 「権利」を特定の媒体(通常紙ですが)に記録し、この媒体(紙)の持ち主が権利の持ち主であることを法的に保証したものを「証券」とよぶことにします。 証券であれば、1/2個のミカン券とか、1/100のミカン券とか、つくることができます。 等価物は実物の商品を材料に、新たに「つくられる」ものでした。 したがって、ミカン券なら、「リンゴ1個は1/100ミカン券50枚に等しい」という意味で「リンゴ1個はミカン0.5個に等しい」というのもアリ、になります。 今私たちが使っている貨幣は、この証券タイプの等価物がもとになっています。とはいえ、これはまだ論証していない話、聞かなかったことにしてください...って、それは無理。
▶等価物の2タイプ
▼等価物の2タイプ
結合のさせ方には、
①単一の商品で、その価値とその物量を結合させる直接型
②ある量の商品を受けとる権利を使って、価値と物量を結合させる間接型
がある。
金貨幣の基礎は①の直接型の結合である。
現在の日本銀行券の基礎は、②の間接型の結合である。
▶等価物による価値表現
▼等価物による価値表現
5月26日の講義はここまで
問題 5-5
次の文章は、今日6月2日の講義に必要にして充分な前提です。(A)(B)(C)に適当な単語を答えよ。
商品は、(A)ことのできるモノだが、ただのモノではない。その使用価値が完全に他人ための使用価値になっている状態のモノである。
その結果、商品はもう一つの要因である(B)をもつ。この(B)とは、他のすべての商品と潜在的に置き換えることができるという属性である。
この(B)は、使用価値とともに、商品の二要因をなすが、それは使用価値とは異なり、一定の大きさをもつ。
ただこの(B)の大きさは、量として直接(A)ことはできない。それは(C)によって表現される。
この(C)とは、実物の商品そのものではなく、商品の(B)を商品の物量と結びつけてつくられる二次的なの構成体である。
こうして商品の(B)は、まず(C)を構成し、次にこの(C)にその商品の一定量が等しいとすることで表現されるのである。
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62/88 ...1点以上 70%
解答と解説 5-5 解答 (A)はかる(B)価値(C)等価物
解説 穴埋めは、わざとやさしくしておきました。
本当の大事なキーワードは
他人ための すべてと潜在的に 表現 二次的なの構成体 です。こちらのほうを穴埋めにしても答えられるように、よく読んで理解しましょう。
一般的等価物
▶等価物の連鎖をつくる
等価物の連鎖を描く
各商品がそれぞれ別の商品から等価物をつくり、価値表現をおこなうと...
等価物の等価物の等価物... という連鎖が生じる。
この連鎖のなかには、$A \to B \to \cdots \to A$ という自分に戻ってくるサイクルが生じる。
サイクルのなかでは、$A\sim X \Longrightarrow X \sim A$ という関係が成りたつ。
サイクルのどれかの商品に間接的につながっている商品は、サイクルの商品を直接に指せば、すべての他の商品を等価物においたのと同じことになる。
乱数をつかって配列をつくってみる。
0,1,2 .... 番目の持ち主が、色で示された自分の商品で、順に下の配列の持ち主がもつ商品と交換を求めているとみなす。
色のついた円をドラッグして、商品のつながりを探してみよう。
中心あたりをクリックすると新しい乱数の配列がつくられます。
品目数をかえて考えてみよう。
複雑な関係を見た後で、品目数を減らしてゆくと、基本原理がわかる。こうした作業を通じて、抽象化する直観能力も身につく。
問題 5-6
商品の集合が有限であるとする。
すべての商品がそれぞれ他の商品一つを等価物にすると、等価物を通じた商品の連鎖のなかに、ある商品から出発してその商品に戻ってくるサイクルが必ず存在する。
このことを証明せよ。
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27/71 ...1点以上 38%
解答と解説 5-6 解答 問題文のサイクルが存在しないと仮定する。 商品集合の要素の数を$n$とおく。 一つの商品から出発して、等価物の連鎖を、商品に番号をつけながら$1 \to 2 \to,...n$とたどる。 サイクルをつくってはならないので、最後の商品$n$は$n+1$を等価物とするほかない。 これは商品集合の要素の数が有限の$n$であるという仮定と矛盾する。 ゆえにサイクルが必ず存在する。■ 解説 背理法ふうに解答を書いてみました。 背理法が有効なのは数学だけの世界ではありません。「君のいうとおりだとすると、困ったことになっちゃうよ」と相手の主張をいったん受け容れて考えることのできる心の広い人はいるものです。「オレはこう思う」一点張りの単純な人と比べ、議論すると手強い相手です。 計算機上がりのコンピュータは、今のところ、背理法のような屈折したロジックを駆使することはできません。ただ、人間にできることですから、人間がプログラムをチャンと書けるようになればコンピュータもいつかはできることになるでしょうが... とはいえ今のところ、コンピュータに数学の命題をたてさせ証明させることはできていないようです。「命題をたてる」ことのほうが「証明する」よりむずかしいのですが、その証明も、背理法のようなロジックを駆使した証明となるとお手上げです。証明のために必要な場合分けのようなところでは、コンピュータをつかうことで部分的に利用することで効率化することはできるのですが。四色問題のように... さて上の「等価物の連鎖」の図では、大きな円の、1時半あたりの外側に隠しボタンがあります。ここをクリックすると、サイクルになっている商品の連鎖が表示されます。 どういう仕掛けになっているいるかというと、疑似乱数で発生させた、たとえば arr = [4,3..15..6] という配列から、連鎖をたどって、サイクルになっている、小配列を返すだけのプログラムになっています。 詳しくは現場で説明しますが、要するに、この配列を端から一つずつfor文で取りだして、サイクルになっているものを取りだしているだけです。 実際に試してみましょう。 商品の数が多くなると、人間が目でみて探すのは途端にむずかしくなります。こうした検索型の仕事はコンピュータが威力を発揮します。要するにきまった条件で、if then else のスイッチを2進法で切り替えるだけだからです。 しかし、ここで証明したサイクルが必ず存在するという命題は、コンピュータにやらせるわけにはゆきません。もし、この命題が成りたたないのに、while(true){... break;} を使うと、いつまでたってもbreakできず、無限ループに入ってしまいます。今のコンピュータでは、このような誤りを自ら訂正するようなプログラムは書けません。プログラムにプログラムを修正させることはできないのです。 このサイクルを見つけだす簡単なプログラムは、いちおう動きます。でも、それは商品数が少ないからかもしれません。もしかしたら、商品数が1万とか、1億とかになると、サイクルが存在しないかもしれません(.... って、層はなりません。いま、コンピュータをつかわずに証明したわけですから。でも....)。小さなデータで試運転しているときにはうまくゆくプログラムが、大きなデータで実行するとうまくゆかない、ということはよくあることです。この点、数学とは違います。数学なら、$n=10$でも$n=10^{10}$でも、命題は同じように真です。 この講義の目的は、コンピュータにはできない(いまのところ)、論理的な思考を鍛えることにあります。コンピュータを使わないのではなく、使うときに必要な能力です。検索してアクセス数の多いものをコピペ... なんていうのは、コンピュータを使っているのではなく、人間独自の論理的思考を退化させ、コンピュータ(を操る人たち)に使われるだけの人になります。自分のアタマで頑張って、真偽をハッキリさせる力をつけましょう。そして、「コンピュータが...」とか「AIによれば...」とか、意志はもとより、論理的な推論もできないモノを主語にした言説を、片っ端から批判してゆきましょう。それには自分で簡単なプログラムを書いてみる、あるいは「読んでみる」のが役にたつでしょう。
▶試してみよう
▼試してみよう
自分のブラウザでコンソールをひらいてみましょう。PCの人だけですが... いちばん簡単のはマウスの右ボタンをおして「検証」を選ぶ手でしょう。「ブラウザー コンソール」あたりで検索すればいろいろでてきます。
コンソール画面の > のあとに以下のコードをコピペしてみよう。最後のリターンキーを押すこと。
let warenSize =16;
// 乱数で等価物の配列を発生させる関数
const shaffleTo = (warenSize) =>{
let to =[]; // 矢印の行き先を表す配列: i --> to[i]
for(let i=0; i < warenSize; i++){
let j = -1; // i とto[i]が等しくならないように乱数をチェック
while(true){
j = Math.floor(Math.random() * warenSize );
if(j != i) {break};
}
to.push(j);
}
return to;
}
let to = shaffleTo(warenSize);
console.log(to);
たとえば
(16) [12, 5, 10, 11, 10, 4, 8, 13, 7, 4, 9, 2, 15, 12, 9, 12]
のような「配列」がつくられます。0番目の人 -> 12番、1番目 ->5番, 2番目 ->10番 .... をそれぞれ等価物にする、と読みます。
注意:すでに「等価物の連鎖」を開いている場合は、コピペすると'Uncaught syntaxError: Identifier 'shaffleTo' has already been declared'というエラーがでる。とりあえず
to = shaffleTo(warenSize);console.log(to);
だけ実行すればよい。あるいはブラウザで新しいタブを開いて、そこで開発環境のコンソールを開いてコピペすればよい。あとのほうをおすすめします。
さらに次のコードをコピペしてみよう。最後のリターンキーを押すこと。
const findoutCycles = ()=> {
const cyclePaths = [];
const cycleNodes = new Set(); // cycle を構成する node の集合
// cycle をみつけて配列cyclePathに格納する
for(let i=0; i<to.length; i++){
if(cycleNodes.has(i)){ // すでにcycleを構成する node のときは次にスキップ
continue;
}
let path =[i]; // 経路パスの仮置き
let k = i;
while(true){
k = to[k];
path.push(k);
if(i == to[k]){ // roop になっているなら
cyclePaths.push(path); // ループとして認定してpush
path.map(item => cycleNodes.add(item)); // path の要素を一つずつ集合に追加
break; // while から抜ける
}
// Set Object を利用した重複チェック:smart!!
if(new Set(path).size != path.length){ // path の要素に重複あり。
break; // = ループに入った証拠。自分はループの中に含まれていない。
} // 無限ループに入ることになるのでbreak!!
}
}
return cyclePaths;
}
let cycles = findoutCycles();
console.log(cycles);
注意:Uncaught syntaxError: Identifier 'findoutCycles' has already been declared とエラーがでたときは、
cycles = findoutCycles();console.log(cycles);
をコピペすればよい。
6月2日の講義はここまで
発展問題:等価物サイクルの複数性
サイクルについての確認
「$a$が$b$を等価物にする」という関係を $a \sim b$ と表記する。
すべての商品について
$a$は$a$に「等しい」という意味で $a \sim a$ が成りたつ。反射率。
等価物の連鎖 $a \sim b$ かつ $b \sim c$ なら $a \sim c$ が成りたつ。推移律。
このとき、多数の商品集合のなかに、
$$ a \sim b ,b \sim c , \cdots\cdots, x \sim a$$
で循環する等価物のサイクルが少なくとも一つは存在する。
等価物のサイクルのメンバーである商品の間には、
$$ a \sim b ,b \sim c , \cdots\cdots, x \sim a$$
が成りたっているので
$$ a \sim b \Longleftrightarrow b \sim a, \cdots\cdots $$
が成りたつ。対称律。
等価物サイクルのメンバーは、共通の中心商品をもつことができる。$$ a \sim b ,b \sim c , \cdots\cdots, x \sim a \Longrightarrow a \sim x, b \sim x, c \sim x$$ ただし、どのメンバーも中心商品$x$になる資格を対等にもつ。
注意:逆は成りたたない。
証明:$$ a \sim b ,b \sim c , \cdots\cdots, x \sim a \Longleftrightarrow a \sim x, b \sim x, c \sim x, \cdots\cdots かつ x \sim a, x \sim b, x \sim b, \cdots\cdots $$
つまり、$x$以外の商品が可換性を放棄することで、単一の等価物$x$による価値表現が可能になる。
これはこのあと、売りと買いとの対極性を説明する基礎の基礎として、重要です。
等価物サイクルの独立性。異なる等価物サイクルは、共通のメンバーをもつことはない。
等価物サイクルは$C\{a,b,c,\cdots\cdots,x\}$とメンバー全員を列挙して指定できるが、どれが一つを代表として$C(a) = C(b) = \cdots\cdots$ と特定することもできる。
どのメンバーも同じ一つの等価物サイクルを代表する資格を対等にもつ。aさんの通う大学といっても、bさんが通う大学といってもおなじ理科大。
グループの独立性。どの商品も等価物サイクルで特定される、いずれか一つのグループに属する。
どのサイクルのメンバーでもない商品$p$は、「...を等価物にする」(「...に等しい」)という関係$\sim$を通じて、いずれか一つの等価物サイクル$C(x)$につながっている。
このことを$p.C(x)$と表記し「$p$は$C(x)$グループに属する」と読むことにする。$p.C(x)$ かつ $p.C(y)$ なら必ず $C(x) = C(y)$ である。
二つのグループに属する商品は存在しない。すべての商品は、等価物サイクルを中心とするグループに重複なく「類別」される。
どの商品も、推移律によって、等価物サイクル、あるいは中心商品に、直接それを「等価物にする」$\sim$ 関係で結びついている。ちょうど、どの惑星も特定の恒星のまわりを運動しているように。
... と、こんな感じでしょうか。ちょっと形式的すぎますが、こういうのが好きな人はこっちで考えてください。
複数性のあり方
▶商品の個数とサイクルの個数
▼商品の個数とサイクルの個数
等価物の連鎖をたどる
1行目の商品は2行目の商品を等価物にする。
その等価物の等価物を探し3行目に記録。
1行ずらして、等価物の等価物の等価物を探し4行目に記録...
行を追加しながら、すべての商品が等価物のサイクルにタッチしたら終了。
平均でどのくらいのサイクルが生じるのか?試してみよう。
複数サイクルの統合
問題 5-7
商品の数を増やしても、サイクルの数はそれほど増えない。なぜか?
5-7 の回答を +
54/87 ...1点以上 62%
解答と解説 5-7 解答 総数がたとえば1000から10000へ10倍になれば、100種といった定量あたりでサイクルができる確率は低下するが、総数が増大する効果がこの確率の低下を補うから。
【別解】サイクルを構成する等価物の数(サイクルのサイズ)が大きいものができるので可能性が高まり、サイクル自体の個数が増えなくても、多くのメンバーをかかえたグループができるから。
解説 「仮説」をたてるを求めているのです。「仮説」ですから、もっともらしいものがほかにも考えられそうです。 上に示した「仮説」は、食塩水の$濃度\times量$のようなもの。濃度が低下しても量が増えれば、含有食塩はあまり変わらないわけです。 とはいえ、商品の数を10,100,1000,10000とふやしてゆくと、サイクルの数は徐々にですが増えてゆくように見えます。 では、十万、百万 .... とふやしていっても、この傾向はどこまでも続くのでしょうか。それとも、どこかでピークを迎え、そのあとは一定、あるいは減少傾向に転じるのでしょうか。 javascript で書いた先ほどのプログラムでは1000種を100回試すのが限界でしたが(高速化の配慮がゼロのせいもありますが)、pythonのpandasとか、Rとかでプログラムを書けば、とりあえず「どうなるか」は確かめられるでしょう。 しかし、「なぜそうなるのか」は、やはり数学的に考えるほかないでしょう。コンピュータは、「どうなるか」には答えられても「なぜそうなるのか」には答えられないのです。 AIならできる...って、そんなことばかりいっていると、どんどん人工無能になってゆきます。複雑な現象をコンピュータで再現し分析整理することはできます。でもそれは「なぜそうなるのか」に答えたことにはなりません。「なぜそうなるのか」は、コンピュータを使って(使わないのではなく使いながら、です)人間が自分のアタマで考えるほかないのです。 【別解】の可能性はあります。等価物サイクルの複数性ということで、サイクルの数だけ問題にしてきたのですが、それぞれのサイクルのサイズも考えに入れなくてはならないはずです。 大きなサイクルが小数あることは、小さなサイクルが多数あることと互換的です。サイクルのサイズとサイクルの数の間には逆相関の関係が成りたちそうです。 だから、実は、サイクルのサイズも調べてみる必要があるわけです。 因みに等価物の連鎖をたどる のページで、「平均でどのくらいのサイクルが生じるのか?試してみよう。」を実行したあと、ブラウザーのコンソールを開いてみてください。 たとえば $▶(3) [Array(6), Array(3), Array(3)]$ というのは、サイクルが3つあり、それぞれのサイズが6,3,3 だという意味です。 $▶[Array(4)] $なら、サイクルは1つしかなく、そのサイズは4だということになります。こうした列が「繰り返す回数」で指定した数だけ表示されます。
多数の商品が任意の一商品を等価物にして価値表現をしたとしても、その表現の連鎖は広範に及び、特定の等価物のサイクルに到達すること、そして、このサイクルの数は一つではないにしても、かぎられた数に絞られることがわかりました。
さらに、そのうちのあるサイクルは、別のサイクルに吸収統合される可能性がありそうです。はじめに等価物とされた商品は任意の(ここでは乱数で割り振った)ものであったからです。
6月9日の講義はここまで
問題 5-8
「サイクル $C_a$で類別されるグループ$G_a$全体が、別の$C_b$で類別されるグループ$G_b$に、一度に丸ごと吸収されるのは、サイクル $C_a$を構成する商品の一つが、$C_b$を構成する商品の一つをその等価物に変更したときである。」
この文には誤りがある。どこをどう書き換えれば正しい文になるか。最短の訂正で答えよ。
5-8 の回答を +
7/75 ...1点以上 9%
解答と解説 5-8 解答 二番目の$C_b \longrightarrow G_b$
解説 等価物サイクルのメンバーである商品は、そのグループ全体の中心にあるわけですが、この一つが別のグループのどれかの商品を等価物にとるように変更すれば、そのグループ全体をゴソッと別のグループに引き込むことになるのです。 それには、相手のグループの等価物サイクルの商品を等価物に選ぶ必要はないのです。もっとたくさんある、そのグループの商品のどれかでよいわけです。 たった一つの変更で、多数が別のグループのメンバーになるため、もう一息でサイクルになるところで崩れてしまい、別のグループに吸収されてしまうのです。これは、上の問題8-5の「商品の数を増やしても、サイクルの数はそれほど増えない。なぜか?」に対する一つの答えになりそうです。
▶複数性のまとめ
▼複数性のまとめ
商品の価値表現がバラバラの等価物でおこなわれたとしても、等価物の連鎖を通じて,少なくとも一つの等価物連鎖が形成される。このことは、商品相互の関係を通じて内部から ,等価物の統合を生みだす力が生まれることを意味する。
しかし、この力は単一の共通の等価物を生みだすほど強力ではない。限界は次のてんにある。
サイクルの個数の複数性:サイクル自体が幾つもありうる
サイクルの構成要素の複数性:どのサイクルも二つ以上の要素をもつ
このことは、次のように一般化することができる。
貨幣は商品どうしの関係から内的に生まれる強力な作用があること
しかし、それはここで想定している条件(内的条件)だけでは単一にはならないこと
単一になるには、さらに外的条件(国家法制など)が必要となること
等価物の統合の主たる力は、商品の価値表現(内的条件)にあり、統一(単一化)にはに必要な外的条件は,統合を補足する従たる力であること(従たる力だけで、等価物の統合ができるわけではないこと)
この後すぐ述べるように、貨幣は等価物の統合の究極のすがた。だから、国家のような権威だけで、商品以外の何かを貨幣として、商品集合に追加することはできなこと
要するに、「貨幣は商品の内部から生まれる」ということになります。
▶記号についての注意
▼記号についての注意
ここでは「同じ」 $=$ に対して「等しい」$\sim$ という記号を使ってきました。
しかし、みなさんがPCやスマホから入力するがたいへんだと思いますので、以下では$\sim$の意味でも$=$を便宜的に使うことを許します。
ただし、この $=$ は $P = Q$ でも $Q = P$になるとはかぎりません。数学でいれば、可換ではなく非可換です。
問題 5-9
次のような価値表現がなされている。
バナナ3本 $\sim$ リンゴ1個 リンゴ5個 $\sim$ ミカン10個 ミカン10個 $\sim$ バナナ10本 このとき「商品の価値は単一の価値表現をもつ」といえるか。理由を述べよ。
5-9 の回答を +
34/90 ...1点以上 38%
解答と解説 5-9 解答 いえない。
直接には「バナナ3本 $\sim$ リンゴ1個」だが 「バナナ3本 $\sim$ リンゴ1個 $\sim$ ミカン2個 $\sim$ バナナ5本 $\sim$ リンゴ3/5個」となり バナナの価値は2通りの価値表現をもつから。 解説 直接の価値表現と、循環で生じる間接的な価値表現とが異なってしまうのは、バナナだけではありません。すべてがそうです。 このように価値表現が一義的にきまらないのはなぜでしょうか? 等価物が、リンゴもミカンもバナナも、というように複数あるからです。 逆に等価物が一つなら、直接の価値表現は、循環を通じて異なる価値表現になるということは生じません。 商品がすべてそれぞれ同じように「ただ一つの大きさの価値をもつ」とすれば、その価値の表現は、単一の等価物によるかたちになります。これは価値の定義から導きだされる論理的帰結です。 After サイクルができていない、という回答がありましたが、等価物のサイクルはちゃんとできているのです。 しかし、等価物のサイクルができていても、比率に関して不整合が生じます。このことを、ここでの数値例に則して示せば3点です。予想よりよくできていました。
▶等価物の統一
▶一般的等価物の定義
▼一般的等価物の定義
すべての商品が単一の等価物でその価値を表現するとき、この等価物を一般的等価物 とよぶ。
「単一の等価物」は。もちろん「単一のモノ」ではないが、また「単一の商品」でもない。
複数の商品を基礎に、単一の等価物をつくりだすこともできるからである。
やがてみるように、今日の貨幣は単一の商品を基礎にしているわけではありませんが、このことは「等価物が単一でない」ということと同じではありません。こういう区別が厳密にできるようになりましょう。
等価物は、それで価値表現する特定の商品に対して直接的交換可能性をもちますが、一般的等価物は、すべての商品に対して直接的交換可能性をもちます。どの商品も潜在的には他のすべての商品と交換可能であるという性格が、一般的等価物の直接的全面的 交換可能性となって現れたのです。
貨幣
▶貨幣の定義
▼貨幣の定義
持続性をもった一般的等価物を「貨幣」とよぶ。
一般的等価物があれば、商品価値の一貫した表現には充分です。
しかし、商品は瞬間的な存在ではありません。すぐに売れなかなければ価値が消えるわけではありません。価値をもっているのですから、価値をもつものとして価値表現をしながら、ある期間、持ち続けられます。
一般的等価物の持続性、つまり貨幣の必然性は、価値表現をしながら商品として持ち続けられることを可能にする条件です。
▶資産ないし富
▼資産ないし富
ついでに資産にふれておきます。
価値をもつものとして保持されるものを「商品経済的な資産」といいます。
「資産」ないし「富」であるには、有用なモノであれよいのであり、商品ないし貨幣として、価値をもつものにかぎりません。
なお以下では、文脈上明らかなときは、「商品経済的な」は省き単に「資産」ということがあります。
▶商品貨幣
▼商品貨幣
商品の価値を表現する能力をもつ貨幣を「商品貨幣」とよびます。
同種大量の商品が存在すれば、かならず商品貨幣が同時に 存在します。陰のない実体がまず存在し、あとから陰ができる、など考えてはいけません。表と裏、不離不可分のペアです。
商品貨幣は、商品集合から必然的に導きだされるものであり、商品だけあって貨幣がないという状態がはじめにあるわけではありません。物々交換しているうちに、貨幣が発生したなどというのは、エセ経済学のお伽噺です。
この後みてゆくように、貨幣はその機能に応じて、さまざまなすがたにわかれます。これらは「商品貨幣」であるとはかぎりません。ちょっとまっててください。
価格
▶価格の定義
▼価格の定義
商品価値を貨幣の量で表したものを「価格」とよびます。
貨幣の量は、円とかドルというような独自の単位をもちます。
これは法律で定められています。「計量法 」は第3講 ですでにみましたが、そこには「円」はでてきませんでした。
貨幣の量は俗称「通貨法 」という別の法律で定められています。
問題 5-10
異種商品の価格を足すことはできない。
真か偽か。理由を述べよ。
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解答と解説 5-10 解答 真 価格のディメンジョンは、$貨幣量/物量単位$であり、分子は同じ単位でも、分母が異なる単位だから。 解説 「リンゴが80円、バナナが40円なら、足して120円」。どこが間違っているのでしょうか。 世の中、はかれたって足せない量はいろいろある。 80度のお湯と40度の水を混ぜたら、足して120度、アッという間に蒸発してしまった...って、そんなバカな... 時速80キロまででる自動車と時速40キロしかでない自動車を連結したら、足して120キロ、爆走した...って、そんなバカな... バカな、バカな、といいながら、リンゴとバナナの平均価格は $(80+40)\div 2$ で60円だなどと平気でいうのは、おのれのナニを知らぬナニ。 あとで物価指数の話をしますが、そのとき、ここをもう一度読みなおしてみてください。 After 残念ながら全滅でした。価格の定義がわかっていれば、正答にたどりつくと思ったのですが... 価格はただの貨幣量ではありません。商品の価値を表わす 貨幣量、つまり商品の一定量あたりの 貨幣量です。 価格のディメンジョンは、$100[円/kg]$とか$200[円/100g]$とか$200[円/l]$ $100[円/リンゴ1個]$とかになります。 価格と金額を区別しましょう。 $$金額=価格 \times 物量$$ $$eg. 円=円/kg \times kg$$ 金額なら足せますがが、価格は足せません。 価格を要素とするベクトルを価格ベクトル、物量のそれを物量ベクトルとよぶことにします。 価格ベクトル $\boldsymbol{P}=(p_1,p_2,\cdots)$、物量ベクトル $\boldsymbol{X}=(x_1,x_2,\cdots)$ とすると、内積$$\boldsymbol{PX} = p_1x_1+p_2x_2+\cdots$$はスカラー値の金額になります。 $\boldsymbol{P}$の要素を直接加算する$p_1+p_2+....$ が意味をなさないのは、$x_1+x_2+....$ つまり $ひき肉300グラム+牛乳1リットル+\cdots$が意味をなさないのと同じです。
問題 5-21
今日 5月26日の講義で、さらに説明が必要なところがあればどうぞ。
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問題 5-22
今日 6月2日の講義で、さらに説明が必要なところがあればどうぞ。
5-22 の回答を +
1/35 ...1点以上 3%
問題 5-23
今日 6月9日の講義の内容について、質問があればどうぞ。
5-23 の回答を +
0/36 ...1点以上 0%
問題 5-24
今日 6月16日の講義の内容について、質問があればどうぞ。
5-24 の回答を +
0/27 ...1点以上 0%
まとめ
商品の価値は等価物 で表現される。
等価物は、商品の価値を商品の物量と結びつけてつくりだされた新たな構成体 である。
商品の価値表現の連鎖は、一般的等価物 を生みだす。
持続性をもった一般的等価物が貨幣 である。
この貨幣は商品価値の定義から論理的に導きだされ、商品の価値を表現できる貨幣、すなわち商品貨幣 である(商品貨幣から派生する貨幣のなかには、単独では商品価値を表現できない、すなわち価格づけができない貨幣もでてくる)。
貨幣量には、円、ドルなどの独自の単位が定められている。貨幣量による商品価値の表現が価格 である。